K君が日本の歴史を知らないのは当然だった

K君は「全く」と言って良いほど、日本の昔のことは知らなかった。これは彼のせいではなく、環境的なものだからまあ仕方がない部分が大きい。そこで日本の歴史の中で「試験に出そうな古典文とその背景の歴史」だけを、知ってもらった。

あまり時間がなかったから「ピンポイント爆撃」して「拠点」をつぶす作戦だ。江戸時代の松尾芭蕉、近松門左衛門などの「近世古典」も同じようにした。最後には明治の、「近代最後の古典」の融合文ぐらいまではやったと思う。

もっとも私が知っているのは高校レベルの古文だから、中学生には少し「重過ぎ」る。手っ取り早く古典文法を知るためにはΣベストシリーズ 合格へのベストアプローチが有効だ。これは非常によくできている。ただし問題数が少ないので、同時に、旺文社の「でる順 古典問題の征服」を携行して、日頃から読んでおく方法を採った。

高校の文法までそろえている塾もある

塾によっては高校の初歩の問題集まで用意してあるところもあるし、ウチでもそうだ。特に動詞と助動詞の活用=変化には慣れる必要が大いにある。この時、国文法=現代日本語の文法も同時に見直すことになるのは、必然の流れだ。特にK君にとっては「日本語の見直しお勉強」なので、非常に有効だった。

最近の日本人中学生は、現代国文法に対して弱い人が多すぎる。3年生になっても「名詞って何ですか」と平気で質問してくる人もいる。前に「国語力は残酷だ」でも書いたが、底辺レベルの崩壊は、激しいものがあるという、良い実例だ。そんな人でも下の方の公立高校には総合点で入れたりするが、単に入学できているだけだ。

さて、後は指導者と本人の意欲次第だ。特に「古典問題の征服」は前の版に比べて、さらに充実したものに進化し、平安時代の部分は、かなり難しいものまで取り上げている。他の参考書でも同じで、ここ10年ほどの間に、相当のレベルアップが市販の問題集では図られている。

高校でコケタ人にも有効

となると、塾内部の独自テキストや授業内容は、もっと「イケテイル」いるのは当然だ。これは各進学私立や、高レベルの公立高校が独自に作成する入試問題および入学した後の授業のスピードを念頭に入れ、塾の卒業生が、高校に入っても、さらに良い成績を取ってくれるように考えた「長期的宣伝」を兼ねているのは、間違いない。

こんなことは、その塾に所属して初めてわかることで、外部からはわからない。特に同学年の友達には、絶対教えたりしないだろう。「情報を制する者は世界を制す」は言い過ぎにしても、「潜在敵国」に塩を送るマネなどするわけがない。セコイのではなく、気が付かない人が緩いだけのことだ。

公立の中学ではまずないだろう

ひるがえって公立中学の授業ではどうだろう?ここまでやっているところは珍しいか、あまりないのではないか?つまり塾任せになっているのが、現状だ。あまりにも、うかつで無策としか言いようがない。私が「学校任せは危険だ」と再三主張している、原因の一つがこれだ。塾業界や出版業界は「これからは日本の内部のことを深く知った者が伸びる」と先読みをしている、としか考えられない。英語はできて当然で、日本のことをさらに深く発信できる者に富が集まる、と踏んだのだろう。単純な「おもてなし」を超えたレベルだ。

まだ続く。