問題提起だけして解決策を一つも出さないのはまずいので

では読解力をつける、上げるためにといきなり国語講座にご子弟を放り込んでも、嫌がることも十分にあり得る。やはりお手軽に読解力を上げる方法はあまりないのは残念ながら、事実だ。であるなら、とりあえずは、まずは日頃の地道な積み重ねしかない。その「日頃の地道な積み重ね」の具体例の一つに「あらすじを話してもらう」という方法がある。

実はこれは「この人読解力ないな~」と判断した生徒に私が時々試す、あるいは継続して試している方法だ。やり方は簡単で、今学習している国語教科書の内容を「なるべく詳しく、筋道立てて私に伝達してください」とする。後はただその人が話すのを聞いているだけだ。

本当は何か本を読んできてもらって、そのあらすじを言ってもらうのが一番良いのだが、以前にも述べた通り、本を読むこと自体あまりやらない=題材がないので、一番身近な、国語の教科書を使っているわけだ。

こちらは、もちろん予習してある。しかし読解力のない人はまず、この「あらすじ」を伝達すること自体ができない。すぐに詰まったり、何が書いてあったか思い出そうとしたりするのだが、中々うまくできない。たとえ今日、授業を受けてきたとしても、あるいは授業回数が5回を超えていても、だ。待っている身としては案外に疲れる。

お遊びみたいだけど案外効く

しかしこの方法はかなり前からやっていて、効果があることを知っている。思いついたのは、筒井康隆氏のエッセイからだ。氏の長男が3才ぐらいの時、「浦島太郎の話をしてみろ」と言うと、最初は浦島太郎だったのだが、途中から桃太郎の話が入り込み、さらに途中から一寸法師の話になってしまったので、次の日にそれらを元に、短編を2本書いた、という話を読んだからだ。

栴檀は双葉より芳しなのか、蛙の子は蛙なのかはわからないが、きっと面白かったのだろう、行間に笑いをこらえているのが読み取れたぐらいだった。残念ながら先年、その長男氏は父親の筒井氏より先に亡くなってしまったのだが、筒井氏は長男の分まで、まだまだがんばるぞと言われていたから、大丈夫と信じたい。

話は戻って「これを国語に使うのはいいかも」と思い、国語の教科書の内容を「要約」することをやってもらったら、文字を読むことに慣れてきたの、抵抗なく文章問題に取り組むようになってくれた。さすがに私の前で話を組み合わせる生徒にはまだお目にかかったことがない。そのうち現れるかもな、と期待している。その次は、解答対象の評論文や小説文も要約してもらうこともある。

「学習はインプットだけでなくアウトプットもしなければならない」とか「インプットもアウトプットもどちらも大切だ」とよく言われる。特に英語で姦しく言われる。しかし日本語でも同じである。目の前にいる生徒は日本語の経験値は13年分~15年分しかない、という事実に気が付いてもらいたい。

子供が小さい時は「今日学校で●●ということがあって、面白かった/驚いた/悲しかった」と報告してくることがよくあったはずだ。なければないで、親・保護者の方から、「今日は学校で何か変わったことがなかったか」と質問するだろう。そうやって子供は会話能力を発展させると同時に、書き言葉も発展させていく過程にある。

取り敢えず、教科書内容の「あらすじ」を話してもらうことから始めたらどうだろうか?ただし、忍耐力は結構、かなり、人によっては物凄く、要求されることは覚悟しておかなければならない

特にご子弟の話を先回りして「こうこうなのだな」と自分でまとめてしまう傾向のある親・保護者の方は、これを機会にその癖を改める気概も必要になるだろう。