お父さんには悪いけど書いてみたい

今まで「親・保護者」としてきた存在は「父親 + 母親の両方」、ないしは「明らかにしないがどちらか一方」という前提で報告してきたつもりだ。しかし今回は「父親、お父さん、あるいは父親的役割を果たしている男性(たまに女性もいる)」ということに絞って考えてみたい。

こういう仕事をしていると、各ご家庭の色々な事情がうかがえることが多いので、人生経験を別のところで積んでいることになる。いつも思うのは「親としての、ご夫婦の会話はとても大切だな」だ。他の事はどこかでやってもらうことにして、この場合は「お子さんについての話し合いと方針決定」と限定する。

その際、少しどぎついが、「こういう存在にならないようにしてほしい」というダメな対象として、あげてみる。ただし今から述べるのは、あくまで当方の限られた経験で得られたもの、とお断りしておく。

ビジネス本や雑誌に「ダメな上司」特集がよくある

その「ダメ上司」と「ダメなお父さん」がよく重なることが多いのは、非常に興味深い。ただし「受験のための家庭内での指導」に絞って話を進める。「稼ぎ」とか「子供との付き合い」とか「いっしょに遊ぶ」とかではないから、その点は注意。

「稼ぎ」が悪くても「受験上良い父親」もいるし、その逆もある。極端な話、不倫していても「子供の受験には良い父親」もいるだろうから(ただし目撃したことはない。大体、そんなことまでこちらにはわからない)。今まさに自戒を込めて、以下思いつくままに、そして今まで目撃してきた場合をあげていく。

時代の変化を認めていない

①自分の時代はこうだったから、あるいは自分がこうしたかったからと、子供にも同じことをさせようと提案する

「オレの若いころは」という「若き日の武勇伝」を語る上司が一番ウザい、と嘆く部下が多いが、父親も同じことを子供に言ってくるのが、子供には一番ウザいと言う例が多かった。学校教師にも時々存在する。

まだ母親はコミュニティーが子供と重なっているので、時代にキャッチアップしていける可能性が高いが、父親は仕事の関係上、疎外されていたり、自分から入っていくのが面倒なこともあって、時代から取り残されることが多い。ある意味残念なケースと言える。

この場合、自分がしたかったから子供にもさせたい、という理由は「あなたと子供は違う人間です」で退けるか、はいはいと返事だけしておいて、採用しないのが一番の方法だ。

言い出したことに責任を取らない

②先を読まず、プランだけを思いつきで提案して、後になって「オレそんなこと言ったっけ?」と責任を取らない

にわか勉強で「今はあれが流行だ」ということに飛びつく傾向のある人が、父親になると、お前はこの道を行け、と子供に決め付けることが多い。子供の方はまだそんなことはわからないから「お父さんが言うのだから…」で好きも嫌いも決まらないまま、その方面へ進もうかなと決めることが多い。

時間はものすごい速さで動いているのだが

しかし「今」は流行でも、もう少し時間が経つと、流行ではなくなっているものが大半だ。そして子供が中学生も後半になってくると、そろそろ自分の能力の限界や個性の傾向を見極め始める。これは非常に大切な作業で、アドバイスをすることは良いが、絶対に邪魔してはいけない。なのに無理に口を出し、方向を決めつけると、家庭内で「人の和」が壊れ始めるだろう。

ただし怠け心から諦めているような時は、手練手管を発揮して、たまには叱り飛ばしてでも勉強させなければいけないのは、今まで述べてきたとおりだ。

特に、もし下に兄弟姉妹がいて、彼らが好きにやっているのを見たら、その子供は反発して言うことを聞かなくなるし、兄弟姉妹の不和にまで発展、そして「元々はお父さんがいけないんじゃないか」となった時に「オレそんなこと言ったっけ?」と逃亡する、という例も見た。

父親(あるいは父親的存在の人)というのは、暗黙の了解で最終決定を任されることが多々ある。くれぐれも発言や企画は慎重に願いたい。

まだ続く。