宗教関係は面白いけど、幅が広くて大変ですな

英語の指導担当でもあるので、宗教に関しては色々な本を読んでいるつもりだが、たまには変な本も読む。その中で結構印象に残っているのが、「魔女とキリスト教-ヨーロッパ学再考」という本だった。

お値段は少し高いけど面白いです。

中身は真面目なのだが、うう、これはひどいという部分もあって、中学生ぐらいにはお勧めできないが、でも、気晴らしにはちょうどいいので、少し中身を紹介しようと思う。

私は歴史学に関しては完全な素人で、ヨーロッパの中世にいたっては素人どころか、盲目みたいなものだ。だから、この本の内容が正しいのか間違っているのかは、全くわからない。読む人が読めば、「ああここは正しい、あそこは間違っている」とわかるだろうが、全く判断が付かないので、とりあえずほとんど正しい、という前提で話を進める。

読んでみての感想は「驚いた」の一言だ。
日本人は「魔女」と耳にすればアニメの「魔女の宅急便」とか「魔女っこメグ」、古いものだと「秘密のあッこちゃん」ぐらいしか思いつかないし、キリスト教と聞いてもクリスマスとか十字架とか変な連想だと吸血鬼ぐらいしか出てこない。あるいは「隣人を愛せよ」「左の頬を打たれたら(右だったかもしれない)…」のセリフぐらいか。

それでも高校で世界史を少しまじめに勉強したのならキリスト教はローマの時代に生まれて、ローマの国教になって、その後ヨーロッパを支配していく宗教だ、ぐらいは知っている。

支配していく段階で、土着の宗教とどう折り合いを付けて行くか、が問題になる。それはイスラム教でも仏教でも同じだ。うまく行く場合は融合して、最初のイスラム教や仏教と違ってくる。まるでお酒を水で割って飲むようなものだ。マニ教なんかはその部類に入ると教わった記憶がある。

色々な宗教が生まれては滅んでいるが、形を変えて生き残っているものもある

地球上では色々な宗教が生まれ、あるものは栄え、あるものは滅んでいった。しかし滅び方によっては、中身や形が生き残っているものもある。例えば「古代ペルシアの宗教で、「拝火教」と呼ばれたゾロアスター教は、火を拝んだり崇拝するのだが、宗教行事やお経を読むときにろうそくに火をつけたり、仏像が火焔を背負ったりする形で生き残った。

日本では、仏教と神道がうまく融合した形になって「宗教戦争」は起きなかった。有名な蘇我と物部の争いも、結果的には神道を仏教が完全に駆逐することはなく、共存に近い形を取ったから、宗教で戦争するという発想がしにくい。

実はヨーロッパでもそれは同じで、土着の素朴な信仰とキリスト教は融合していった。正確には融合というより、「外側」はキリスト教で、「内側」は古来の宗教、という形だった、と著者は主張する。日本の言葉だと「和魂洋才」みたいなものか?

ヨーロッパ人はキリスト教をきちんと信じているのか?

著者はヨーロッパの各地にかなり詳しいみたいで、街角を歩いていると、建築はキリスト教の影響を数多く受けていることを認め、同時に本屋などに入ると、店頭には秘儀学の本が結構たくさん並べられ、よく売れているのを見て、ほんまにキリスト教を信じているんかい、と疑問を持っているようだ。

この「魔女とキリスト教」が紹介しているのは、13~17世紀ぐらいまでの、ヨーロッパでの、キリスト教者、特に上層部の幹部たちが、魔女と疑われた人たちを、容赦なく拷問にかけ、殺害していく様を数多く紹介している。疑いをもたれたら、もうそれで終わり、みたいな感じだ。特に産婆は魔女として特定されることが多かった。

もちろん、その上層部の幹部やら、神父やらが宗教に名前を借りた単純に変態だったからかもしれない。そういう人はどんな時代にもいるからだ。それでもやはりひどいものだ。

この本を読んでの私自身の簡単な感想と、なぜそんな野蛮なことをしたか、についての推測だが、これは恐怖による支配と、財産・情報の収奪にあった、と結論付けている。

まだ続く。