そして2018年9月4日に台風21号が襲来

幸いにもスーパー台風ではなかった。この台風21号は、中心気圧 950hPa、最大風速 毎秒45mの「非常に強い勢力」で4日の昼12時に徳島県に上陸、同日午後2時頃には兵庫県神戸市付近に再上陸した、とあるので、「猛烈」レベルでもなかったが、それでも充分すごかった。

と、日付だけ述べられても、という方たちには、関西国際空港の連絡橋に、船がぶつかってしまい、しばらくの間交通不能になった事故も起きた台風だった、といえば、ああ、あれかと思い出せるかもしれない。幸か不幸か、ま昼間に来たので、屋根が吹き飛んだり、物が飛んで来て窓が壊されたり、車が横風で横転するなどなどの被害映像もたくさん残っており、話題には事欠かない台風と言えよう。

当方の位置は台風進路右側で危険領域、これはまずいなと考えていたのだが、片づけるものは全部片づけたし、これ以上準備をしろ、と言われても、もうすることがないから、テレビを見たり、ネットでレーダーを見たりしていた。しかし頭上は盲点だった。

さすがに、シャッターは全部降ろして、外が見えるように1枚だけ少し開けておいた。最初はちょっと外に出て光景を撮影したりして、まだ余裕があったが、昼間なのにだんだん暗くなり、雨風ともに激しくなって来たので、いよいよ中心が来たか、と家の中に避難した。後30分ぐらいで暴風圏が過ぎるな、という2時30分ごろ、家がみしみし音を立ててきしみ出し、同時に耳なりがキーンと響きだした。

竜が通ったのかと思ったぐらいの変な音

あれ?なんだこれは、と窓から外を見た時、空港で飛行機が頭上近くを飛んでいくような、あるいはもちろん見たことも聞いたこともないが、まさに「竜が飛んで行く」ような轟音が響きわたり、上のほうでバキバキという異様な音がして、白い板状のものが、ガラス越しではあったが、目の前に落下してきて、ガシャーンと数十の破片になったのを目撃してしまった。屋上に設置してあった塾の看板のアクリル板部分が、暴風で破壊されてしまったのである。

事実を飲み込むのに、ちょっと時間がかかって、しばらく茫然としていたのだが、続けて驚いたことに、落下したはずの大き目のアクリル板が、強風にあおられてふわりと浮かび上がり、また地面に落ちた。これはいかんなと外に出て、その上に飛び乗り押さえつけた。もちろん強風はびゅうびゅうと吹きまくっている。木の枝とかの物体が、上空をびゅんびゅん飛んでいく。小石レベルの物も飛来してくるし、かなり重い植木鉢も倒れ、壊れる。

何か固いものに当たって怪我をしてもバカバカしいから、家の壁までアクリル板を引っ張っていき、改めて上に乗りなおして、戦争映画で見るような「弾を避ける姿勢」で壁の陰で身を縮めていたら、上空を真っ黒い雲がうねるように巻きながら過ぎていく。ああ、あれが竜巻の「尻尾」かな?とずぶ濡れで考えていた。

3分ほどそのままでいたら、急に風が止み始め、雨も収まりだし、あたりが明るくなっていくではないか。まるで映画みたいだった。

今まで台風には何度も出会っているので、植木鉢ぐらいは壊されたことはあるが、台風での被害額15万円相当というのは初めてだった。阪神淡路大震災では冷蔵庫、ペンダント型電燈、食器などが壊れたから、それに継ぐ被害となる。

ウチだけ運が悪かったのかなと思い、次の日に駅前などを見て回ると、当方の真上を通る線上に位置する箇所では、やはり看板や壁などに被害が集中していた。ウチ以上に、こっぱ微塵の看板もあった。どうやら「竜の通り道」に当たってしまったようだな、ご同輩、と考えていた。

まだ続く。