他にも色々問題点がある
次に人口の多さと、命の軽さの問題だ。
中国で、鉄道事故などが起きると、死亡した犠牲者1人には日本円で100万円ぐらいの賠償金だったと思う。農村では餓死者も普通に出ているという。今回のコロナ騒ぎでも同じだ。あの国では人命は非常に軽い。歴史的には毛沢東が「100万人死んでも中国には8億の民がいる。何を恐れるのか」と大言壮語した。一人っ子政策で甘えた人民解放軍兵士が増えたらしいが、いくらでも人がいるから、すぐに兵士の補給はきくだろう。
仮に中国兵1人を倒すのに10発のマシンガン弾を使ったとすると、100万人だと1000万発必要だ。自衛隊は「たまに撃つ、弾がないのが玉に傷」という川柳で自虐しているぐらいだが、日本はそんなにたくさん弾薬を保有しているのか?また買い付けることができるのか?
次は日本の「借金」の問題だ。
今、日本の国債は1000兆円に達すると言われている。1000万円でも想像もつかない私には、そもそもそんな額のお金がこの世に存在することすら、嘘みたいな話だ。またここでも経済関係の人たちは、「日本の国債は日本の金融機関が買っているから、大丈夫だ」とか言っている。しかし日中戦争が起きて、日本が不利になったら、日本の金融機関でも国や国民を裏切って、他国に国債を売り払うかもしれないし、それが後ろめたいのなら、銀行が債権も債務も抱えたまま国際的M&Aで、銀行自身がどこぞの国に「自分を身売り」してしまうかもしれない。
金融機関に道徳を求めることは無益だ。どこかの新聞の投書で「愛国心を国民に説くのなら、まず経済界の人たちに説いてください」というのがあったが、まさに至言だと思う。今の経済人は軒並み新自由主義者ばかりで、渋沢栄一の「論語と算盤」など読んだこともない人たちばかりだろうから。
そうなったら財政破たんして、日本は戦い半ばで白旗を上げることになる。
次にどこを戦場にするのか?
日清、日露は朝鮮半島、第2次世界大戦は中国大陸と主に東南アジアの島だった。沖縄と硫黄島は日本だが、本土ではなかった。しかし今は海外に領土はない。
不幸にも海上戦力が壊滅したら、いきなり本土決戦になるが、対中国戦なら、当然、原発がいっぱいある日本海側になる。背中に原発を背負って戦うことになるが、大丈夫か?
食糧とエネルギーの確保はできるのか
もっと大切なのは、食糧とエネルギーの確保だ。現在の日本は食料は40%以上、エネルギはほぼ100%を輸入に頼っている。それらを船舶で外国から日本に運んでいて、およそ6000万トンの船舶が輸出入に従事している。
戦場は土のあるところだけではない。海上ももちろん戦場になる。前の戦争では「補給線」を切られて、日本は経済が立ち行かなくなり、1944年・昭和19年半ばには「保って後1年」までの状況に追い込まれた。さらに戦前の日本は米についても輸入国だったことも忘れてはならない。
学校の授業では都市空襲の恐ろしさを強調しているが、それ以上に、海上ではアメリカ海軍と日本帝国海軍の死闘が続き、次々と輸送船が破壊撃沈され、国民生活は次第に圧迫されていた。もっと詳しく言うと、対米戦争では、やたらと戦艦~とか、巡洋艦~とか、航空母艦~とかの名前が記憶に残り、その最後が映画とかアニメとかになって、印象深くなっているが、アメリカ海軍と一番たくさん戦った軍艦は、「海防艦」と呼ばれる輸送船舶の護衛艦で、150隻中90隻近くが撃沈されている。
海防艦は2000トン未満のものが多く、速度も良くて16ノットまでしか出ないし、搭載砲も12センチ以下だった。対してアメリカ海軍の潜水艦は、戦争末期には3000トン近い排水量で、海上での速度は20ノット以上は軽く出せ、搭載砲も13センチはあった。はっきり言って勝負にはならない。
それでもアメリカ海軍の潜水艦を一番たくさん沈めたのは、輸送船を護衛しているこの海防艦や駆逐艦だった。ちなみに海防艦47号と13号が撃沈された日付は、昭和20年8月14日昼過ぎ、戦場は兵庫県香美町の日本海の沖合で、「香住沖海戦」と呼ばれ、もちろん「太平洋戦争最後の海戦」だ。初期は海防艦にも、「香椎(かしい)」「占守(しゅむしゅ)」「国後(くなしり)」などの艦名が付いていたが、戦争末期あたりになると、艦名なしの艦番だけだ。悲し過ぎる。
後24時間で戦争は終わる(正確に言うと停戦になる)運命を知らずに、乗り組み員たちは、最後の最後まで戦っていた。上層部は馬鹿が多かったが、まさに彼らこそ、帝国海軍軍人の鑑だろう。これを知った時には、私も、びっくりし、同時に知らなかったことを、兵庫県人として恥ずかしく思った。
海上自衛隊は、現在の日本の「生命線」である船舶輸送ラインを守れるほど充実しているのか?核兵器など使わないでも、あっと言う間に、日本を「干上がらせる」ことは可能なのだ。
まだまだ疑問点はある。