理想を追った教科書はひどいものだという経験を得た
「理想と言う鳥を追って、現実の穴に落ちる」と言うが、今回の新課程の教科書もそれで、またこの当時、1980年代に出会った教科書も、違った意味でひどいものだった。New Horizon だったと記憶している。
This is~. That is ~.から始まり、I am~, You are~, He is~. She is~. となるのは良かったが、その後がなんと He has になっていた。be動詞から一般動詞に切り替わるだけでも大変なのに、いきなり3人称単数現在だ。この教科書を作った人間は、賢いのかもしれないが、ものすごいオバカだな、と思った。
ミスだと信じたいが、調整の段階で普通は変更されるはずのものが、堂々と正式に印刷されて、すでに生徒の手に渡っていることに驚き、教育委員会や教師がよく採用したな、とも思った。もし当時ネットが普及していたら、恐らく袋叩きだったと容易に予想できる。
教育行政界の感覚が鈍いのは、数年前にあった「10段人間ピラミッド失敗負傷事故」やら、最近のいじめ問題への対応でもわかる。まるで彼らが嫌う旧日本軍と同じだ。ぜひ教育関係者には、名著「失敗の本質」を一読することをお薦めする。Amason で823円で売っているし、古本ならもっと安い。
税金のの無駄遣いの具体例を見た
もっとも当時は教科書を作っている会社自体が2~3社しかなかったので、選びようがなかったのかもしれない。もしまだ「マシ」な方だったとすると、恐ろしい話だ。なんだか利権の臭いがプンプンするのだが、生徒には関係はない。そして被害者である。税金を納めているこっちも被害者だな、と思った。
公立校の授業は税金でまかなわれている。授業を1分行えば、それに応じてお金が出ていく。全国や1つの県でいくらになるのかはわからないが、まともにやらないと、それこそ血税の無駄遣いだ。
とりあえずその子には
「英語には日本語と違う順番がある」
「名詞の前には、色々なものが付く」
「動詞によって否定文・疑問文の作りが違う」
「人称ということを強く意識する」
以上4点を強調して、例文を書いて、下手なイラストも描いて、彼女にはそれを筆写・音読をしてもらった。
そして He has は一旦置いておき、I have~ , You study~ などの例文を覚えてもらって、This is や That is とは「作り」が違うことを知ってもらい、その後、複数形も片付けて「3人称単数現在」への布石を済ませて、やっと He has にたどりつき、単語テストも作って実施した。
今回の新課程も同じようなことをするだろう。大回りもいいところだ。普通は教科書を順番通りにやっていけばすんなりいくところだが、その教科書の「指示器」が間違っているのだから、どうしようもない。だから「トラブルには慣れている」と記した。特に教育行政のやる「おまぬけなトラブル」には。
このあきれた New Horizon はさすがに後で批判が出たのだろう。5年ほどで編集が変化して「まとも」になった。「おばかな証拠」として、捨てずに置いておけばよかった。