部活には2種類ある

当方の見たところ、部活動自体が2種類ある。強い・弱いや、文化系・体育系を問わない。
1つは強い目的意識を持って、部員一人一人が熱心に活動し、自分自身を鍛えている場合。
もう1つは、それなりに目的はあるが、あまり努力をせず、「だれて」流されている場合。

最初の例のような部活に所属している人は幸いだ。充実した学生生活を送れるだろう。ただし勉強にもがんばってもらいたい。

問題はやはり「だれている」場合だろう。こういう部活はあってもなくても同じみたいに見えるが、存在しているだけでも、部員=生徒=子供を引きうけている。それだけで、試合に行ったり、練習で集まったりして、変なところには行かないので、親も安心だ。つまり「受け皿」だ。

で、よくある話だが、この手の部活は、なぜか練習時間だけが長く、回数も多いわりには、試合の成績は大したことがない。するとメリハリのきいた生活をしない人が多くなる。

部活で疲れているから、帰ってくるとすぐに仮眠してしまい、それが習慣になり、勉強時間が減る。1年生ぐらいはなんとかなっても、2年生ぐらいになると、「やらないから、できない」から「できないので、やれない」のレベルになってしまう。

その上、大して強くないのに、土日はなぜか練習試合があったり、月曜日にそのまま部活があったりする。このような部活に所属する人が、成績が振るわないので、一念発起して、あるいは嫌々で、家族のすすめで入塾して、それなりに頑張ろうかなと思っても、土曜日や日曜日に、やれ試合だ、練習だ、と拘束時間があって塾側は補習をする時間をねん出するのに、すごく手間がかかる。秋になると、関連施設の予約の都合上、試験1週間前でも、試合や練習が入ったりすることもある。これでは成績向上なんて無理だ。

塾側にも都合がある

だから最近は、最初から「この成績では無理です、付いてこれません」とか理由を付けて、入塾を断念してもらうように仕向けたりする塾もある。実は成績が原因でない場合もあるのだ。成績が悪くて塾に来る方が多いのだから、基準に達していないこと理由にはならないはずなのだが。

合格実績の良い塾ほど、アンテナを張り巡らせていて、「あの学校の○●部活に所属している人はめんどうだ」と言う裏情報まで持っていたりする。吹奏楽部は3年生の引退時が遅いので、特に考慮に入れている場合も多い。あるいは部活動を引退するのを見計らって、その部の人を大量にゲットし、「あまり時間がもうないから」といっぱい時間を組んで、高い月謝を得る、というのも1つの商法としてありうる。

ここまで来ると「部活をしていると入試に有利だ」というのは、実は逆の事態を招いていないか?と疑いたくなる。

1960年代から始まった「部活全盛」イメージをまだ持っている保護者や教師は、意識を変えるように注意した方が良いだろう。学校の部活動が、スポーツ国家隆盛の流れを作った時代は、すでに終わっているのだ。しかし部活動の指導者が、古い感覚のままだと、振り回すだけ振り回しておいて、入試の時には責任をとるどころか、引退したらこちらや親・保護者に丸投げで返してくる。

確かに、部活動が終了すれば勉強時間は伸びるだろう。でも2~3年で仕上げるものを、1年か半年で仕上げるのは無理があるし、15年前と違って、勉強内容は格段に増えて、難しくなっているから、成果が上がるかどうかは疑問だ。何事も程々にしておかないと、痛い目に遭うのは、本人であり、ご家庭である。