第1の感想…これは大変だろうな

英語の新課程教科書が生徒たちの手に渡って1ヶ月たった。当塾は先月ぐらいからサンプルを入手し、先月半ばに現品をゲットし、あれからずっと読んでいる。ちょっと考えがまとまったので、それを書こうと思う。特に中学1年生と中学2年生のご子弟をお持ちの親・保護者の方たちの参考になれば幸いだ。ただしNew Crown の教科書しか今のところわからないので、他の教科書の人たちの参考にはならないかもしれない。まずは中1から

第1の感想…学校は大変だろうな
全体で、Lesson 1~Lesson8まである。
普通はLesson 10 か 9までだから数的には減ったことになる。しかしその中身は濃い。Lesson 1~Lesson 3まで理解して点数を取れたら、後はなんとかなるとは思う。しかし Lesson 1 からバスケットボールでいうところの「怒涛のオールコートゾーンプレス」がいきなり始まる。とにかく1レッスンごとの内容が濃い。欲張りすぎだ。

小学校である程度は習っているから大丈夫だろうという前提らしい。しかし近辺の小学校卒業生=新中学1年生に確認しても「そんなにすごいことはやっていない」と証言する。そらそうだろう。年間予算は今までほぼ0円で、ようやっと全国で4億円ついただけだから。ただし4億円は小中高全部に4億円だ。48都道府県で割れば1県800万円、3で割れば240万円になり、1県に小学校が50校あると仮定すれば、さらに割る50で1校当たり年間48万円、1ヶ月2万円の予算となる。冗談のような金額で、これではどう考えても「これからの充実した授業」など無理だし、「これまでの授業」が充実していたと考えるほうが変だ。

反語的だが、だからこそ、濃いのかも?とも考えられる。役所側としては「成果」を出さなければならない、しかし小学校には予算を出せない=あてにできない、そこで中学校に「今まで以上により一層」頑張ってもらい、高校受験に成果が出れば「終わりよければ全て良し」になると考えたようだ。

とにかく新中学1年はLesson 3 終了までの65ページをどう乗り切り、自分のものにするかが、3年間の英語の出来具合を担っていると覚悟した方がいい。ちなみに去年度まで Lesson 3 の終了は42ページだったから、1.5倍になっていることがわかる。

第2の感想…混乱だけで終わればいいけど

Lesson 1 にbe動詞と一般動詞が同時に紹介されて、語順⇒否定文⇒疑問文の作り方の違いを例示してある。違いを見せるためには良いことだろうが、同時に混乱を引き起こさないか?の危機感の方が強い。

中学1年生を指導する時に一番気を使うのが、be動詞と一般動詞の否定文・疑問文の転換方法の違いをきちんと習得させることだ。一番個人差が出る箇所でもある。つまり精神的に幼稚な人はまず「be動詞」とか「一般動詞」との区別がつかない。ウソみたいだがホントの話だ。目と脳がつながっていないのだ。なるべく独立したところで、否定文・疑問文の転換だけに集中させないと、半数以上の人はここで脱落し、2年生になっても区別がついていない。

第2の感想…そもそも授業が成立するのだろうか?

例示と説明は少し離れていて、p18,p24,p30にPointと名の付いた「例示文」、途中途中の p20、p26、p32に中学1年生にとっては「長文」とも呼べるRead と名の付いた「記事」の文があって、まとめ説明はp36だ。Read は充実してはいるが、中学1年にとっては重量オーバーだ。

これだけでも大変なのだが、Lesson 1 の中には「副次的」な文法事項として「単数形と複数形」がさらりと組み込まれていて、この説明は Lesson 2 の終わりにある。しかし Lesson 1 で any + 複数形の疑問文も入っていいるので、きっと混乱するだろう。some が出てくるのはp46 で How many ~? の疑問文の時だ。しかしこれは Get Plus と呼ばれる「おまけページ」みたいなところにぽつんと紹介されている。正式レッスンの中ではないのだ。アリバイ作りならまずい方法だ。

相当うまくやらないと、恐らく1学期途中で「英語がわからない!」という人がたくさん出る。ホントは良くないが、出るだけならまだいいかもしれない。指導教師の力量がなければ英語の授業が「学級崩壊」する可能性もある。「自分のしたいことをするのが正しい」と刷り込まれている人が多い世の中だし、そうしてきたのは他ならない、教育関係者だ。「自分は英語を勉強したくない!」と教室から脱走してしまったらどうするのだろう。言動不一致に陥ってしまう。

さらに続く。