前回数学の「文章問題が解けない」のお題に関連することだが、ここ数年の四月・五月の生徒の現況について、気がついたことを、ご報告しておく。

中学3年の数学

①展開・因数分解の和の平方・差の平方の公式でよく間違えている
案外、2次3項式はできているが、和の平方・差の平方の、特に2axの部分での失敗が多い。今一度、ノートを確認して、問題集の答えと合っているか点検した方が良い。自分に甘く採点している人は要注意だろう。

②1年で習っているはずの「面積・体積」の計算と、2年の「合同の証明」「等積変形」が弱い。
できる人は本当によくできるし、できない人は本当にできない。元々図形分野は、好きと嫌いが激しいところではある。ここが弱いと来月か再来月にある実力テストでの得点が期待できないから、ぜひ復習しておくこと。、妙なところでは、おおぎ形の面積を求める「隠し公式」は知っておくほうが良い。また3年数学の後半は「相似」「三平方」「円」と図形が連発するので、この格差を埋めていく必要が今後も要求される。学校の先生にも頑張って欲しい。

③一次関数の応用問題以前に、基礎的な知識が欠けていることが多い。
料理屋での「とりあえずビール」ではないが、数学では「値がわかったら、とりあえず代入」という癖がついていない人が多い。基礎中の基礎だが、授業中に聞いたこともない、という人もある。また「代入」して「計算」するまで、弱い人は弱いし、強い人は強い。数学はまさに積み重ね、とはよく言ったものだ。これも前に書いたが「注意力が絶対的に不足している人」にとっては鬼門みたいな箇所だ。もう少し学校でも、繰り返し学習させるべきところだが、担当の先生によって対応に違いが出るのは、考えものだ。

できれば課題も「個性重視」というなら、「能力分け、習熟度別」で課題を出すべきではないか? 実際の運営には、学力別の他に、性別も分けた方がよいかもしれない。思春期だから、異性の前でカッコ悪いところは見せたくないからだ。

中学2年の数学

①連立方程式で計算ミスが続出する場合は、実は「正の数・負の数」が危ない
対策は難しい計算問題に挑戦させて、「簡単なものが本当に簡単に見える」ようにショック療法を与える方が良い。

②3年生と同じで面積・体積が弱い
半年前にやったことを覚えていない人が半数だ。数年前に見かけた「すべての分野を少しずつ復習する問題プリント」の復活が望まれる。また回転体の学習を必ず時間を設けて復習させなければいけない。「面で囲まれていなくても、体積を計算して良いのか」という質問もある。容積と勘違いしているわけだが、特に小学校で、図形をしつこく勉強させない教師に当たっている場合は要注意。

中学生担当の塾講師は、できれば周辺の小学校教諭の実力を把握しておくべきだ。「はずれ」は、どこまで行っても「はずれ」である。ただし人格ではなく、「教えるのが下手」という意味での「はずれ」である。

中学1年の数学

①四月終わり・五月最初は正負の数の計算は道半ばなので、息が切れないようにすること
そろそろ学校に慣れたころなので、絶対に手を抜かないこと。同時に、文字式で必要な「速さ」「密度」「基本単位」の小学校での確認をして、文字式の進んでいない部分や、不足部分を補充する必要もある。できれば1学期が終わったところで、方程式の基本的な解き方まで予習しておくほうが良いかもしれない。2学期が始まるとすぐに文章応用題が登場するからだ。

②「-3-7=-4」と計算していたら危ない
これは理解が足りないか、経験が足りないか(あるいは両方か)を見極めたうえで、基礎を徹底した方が良い。特に「-●-▲」のケースは「覚えていればできる」のだから、覚えようとしないものは今後困ることになるよ、と脅しておく必要もあるかもしれない。特に小学生気分の抜けない「お子様タイプ」は要注意。

次回は英語についての現況報告をする。