きちんと持ち物があるかを点検する

前回も述べたが、できる人は色々バリエーションがあるが、できない人は大量生産品のようにほぼ同じ行動や癖を持っている。ただし偏見と独断に満ちていることはお断わりしておく。

次のポイントは「持ち物」だ。
中学生や小学生の勉強するときの定番のアイテムは、鉛筆やシャープペンシル、「筆」の入っていない筆箱いやペンケース、消しゴムと定規だ。「勉強ができない人」はペンケースを持ってきていても、やたらとその中にカラーペンが入っていたり、肝心のシャープペンシルの芯や、赤ボールペンが入っていなかったりすることが多い。

20本ぐらい何か入っているのだが、それらは絵を描いたり、友達に手紙を書いたりするときに使うものであって、勉強道具ではない。そして本当に使うものを出すのに苦労している。もしご子弟がそうしていたら、もう一つ細身のシンプルなペンケースを持たせて、「こっちに勉強用のものを入れるように」と親御さんの方で、指示をする必要がある。消しゴムも複数持っておいた方が良い。また消す時に、無意識にシャープペンシルの後ろに付いている、あの小さな消しゴムを使ってしまうこともやめた方がいい。あれはあくまで「緊急用」だ。

次は定規。ご子弟に「まっすぐな線を引きなさい」と言った時に、すぐ定規を取り出して使う人は、まあ大丈夫だ。でも定規がペンケースに入っているのに、使わないで、ただ線をフリーハンドで描いて(書いて)しまうような場合はちょっと危ない。

「まっすぐ」の指示を無視して、自分勝手に「まっすぐ」を定義しているからだ。
このような人は問題を指示通りに解かない傾向が強くなる。「子供の自由な意思を尊重する」という考えは、今はやめる。この理屈の出番ではない。問題の指示通りに解かないと点数は取れない。確率の問題で「どのような場合があるのか」の問いに対して「4通りある」と答えても〇は付かないのと同じだ。もちろん定規を持っていない場合は論外だ。

コンパスは日頃はあまり使わないが、中心を締めているビスが緩んでいないかを点検することと、コンパスそのものがきちんと使えているかもよく観察する方が良い。でないと、作図問題でもたつくことは必至だ。

道具の機能を十分に発揮させているか観察する

山で食事をする時にポケットナイフや簡易フォークで済ませるのは、それしか持っていないから仕方がないし、荷物は軽い方が良いからたくさん持やない事情もある。でも家で食事の支度や食事をするのなら包丁や箸、フォーク、スプーンを使い分けるだろう。今あげたすべての場合に当てはまるのは「それぞれの物の機能を十分に発揮させていない」点にある。

日頃から「この道具をうまく使ってやるぞ」という心がけを付けることも大切だ。確かにタブレットとかパソコンとか便利になった。しかし反比例して、人間はずぼらになったようだ。テストの時、持ち込めるのは筆記用具と、頼りない自分の頭だけ、でなければ、カンニング 即 退場=ゼロ点 になる。そう日頃から想定する。せめて道具は機能的に使えるように、日頃から、訓練しておく。

以上で述べた場合で「良くないこと」を繰り返している人は、たとえ優秀な頭脳を持っていても「勉強ができなくなっていく」傾向が強い。もしその子が普通の人なら、なおさらだ。本当はこういうことは、小学生の時に口やかましく、指示する、説得する、なだめる、また言う、などを繰り返して、変な癖を改めてから、中学に送り出すべきだ。