計算間違いというのは勉強するときの「関節痛」や「つぎ指」のようなもので、気を緩めるとすぐにやらかしてしまう、やっかいなものだ。基本通りに進める癖をつけることで防げる。
1年分野から
しかし方程式では、少し注意する形もある。「ありきたり」のタイプは教科書やら問題集にまかせることにして、実際によく出る形で、一番ミナサンが苦手にするのが、未知数が「右辺にあるもの」だ。
この形が出てくると、たいてい「未知数は左辺にあるもの」という「固定観念」が動いて、移項をするのだが、その時に符号を逆にするのを忘れることが多い。無理なプレスがかかっていて、情報処理ができなくなる。
それに対抗する方法は2つある。
1つは「左辺・右辺を全部ぐるりと取り換える」方法で、初心者はこれを採用するのが無難だろう。
もう1つは「未知数は右に置いたままで、そのまま計算する」方法だ。比例・反比例・一次関数の時に役に立つ。つまりこんな風に。
バスケットボールのドリブルやシュートが右でも左でもできたら、自分の可能性が広がるのと同じで、「未知数を右辺に置いたまま計算する技」が身に付く結構楽しい。 ただし、もし間違えたら、最初からやり直すこと。
これは比例・反比例で、比例定数を求める時にも「使える」パターンだ。
2年分野から
次に連立方程式だが、計算レベルで注意するものもある。例えばこんな形。目立たない割にはよく出る。
しかし実際の問題中では速度、距離が m 単位の時は数字が大きくなってしまうことが多い。
こういうときにも慌てず、「離れた引き算に注意する」とか、「未知数を右辺に置いたまま方程式が解ける」とかの手法に慣れていること。
3年分野から
「乗法公式」で、一番手は「和の平方公式」。「最初の項と、2つめの項を二乗する」ことは誰でもやるが、「最初の項と、2つめの項をかけて、さらに2をかける」ことを忘れてしまう。これだけを出されて計算しなさい、なら誰でもできるが、いきなり出されるとうまく行かない。そこで「イメージ」を作ることも大切。
まだまだ注意することはあって、和の平方公式、差の平方公式などで、( )の外に何か数字や文字、あるいは負の符号「-」が付いているときは、それらを後回しにして、先に( )の中を計算することなども注意事項だ。でなければ答が変なものになる。慌てていると「やってしまう」だろうから、日頃から正しい癖をつける、これしかない。
小さなことの積み重ねで、大きなことに達する。そしてさらに大切なことは、「1回しかない」という事実から目をそむけてはいけない。自分の誕生日パーティーは友達がいれば、何回もできる。運が良ければ、結婚も2回ぐらいできるかもしれない。
しかし、中学1年生1学期の期末テストも、中学2年生3学期の学年末テストも、中学3年生2学期の中間テストも、「一生に1回しかないイベント」だ。そのへんをよく考えること。
そして一番必要なのは「正解を必ず1発で出してやる」という決意だ。