メリークリスマスです。まあ色々あったけど、今年2022年の1年間に起きたことで、個人的に印象に残っているものの感想を書いて、同時に締めくくりにしようと思うのです。

2022年1月 東大門前の刺傷事件

共通テスト会場だった東京大学の門前で受験生ら3人が男子高校生に刃物で刺され、負傷する。前年12月には精神科クリニックに放火して、通院していた多くの方が亡くなった事件があったが、このように「常軌を逸した」人が起こす事件は当人には理由があるものの、こちらにはそれを理解できないことが多い。また「なんでそっちに行くの?」という結果を見ていると、特にそう感じる。コロナワクチンへの態度でも、国民の分断が起きているから、今後このような事件が増えるのではないだろうか。

私は拡大自殺と言う言葉がどうも好きになれない。しかもその理由をはっきり説明できないので、もっと困っている。少なくともやっぱり人は自分が一番大切なので、自分を守りたいのだな、と考えてしまう。この場合、自分とは肉体だけではなく、自尊心やら自愛などの心を含むと解している。

同月27日にはトンガで海底火山噴火=近隣国で津波発生した。こっちも忘れられない。というのは「揺れを伴わない津波」の解明進む気圧波「ラム波」が観測されたからだ。私は中学生の頃から地学が好きだったが、このようなものが観測されると、被害は甚大なのに、不謹慎にもわくわくしてしまう。これからも研究が進めばいい。

2022年2月 ロシア軍がウクライナへの軍事侵攻を開始

国際法では戦争で民間人を攻撃してはいけないのに、無視して市内を爆撃するなど、死傷者を出す攻撃を行い、病院、学校、住宅に被害を与える。最初は「特別軍事活動」としていたが、だんだん誤魔化しが効かなくなって、今は戦争だと認めている。図体はでかいが肝の小さい国だ。

私は、西暦3600年ごろの未来を描いている「銀河英雄伝説」の初期からのファンで、徳間書店発行のノベルズ初版本も持っている。この本の中では、人は大きく2つの陣営に分かれて、相変わらず戦争ばかりしている。SF作家の空想はたいてい実現するので、私は人間のいる限り戦争はなくならないだろう、と達観しているところがある。

だからロシアがウクライナに侵攻してもあまり驚きはせず、むしろロシアの下手なところに驚いた。まあどさくさに紛れてやる時は割合上手だが、自分たちから始めるとちょっと下手なところがある。どのような終わり方をするにしても、国際社会からのロシアへの懲罰と、ウクライナ復興でまたもめるだろうな、と思っている。

2022年3月 宮城、福島で震度6強

もはや「第2次関東大震災発生まで後~日」のカウントダウン状態となっているようだ。ある地震学者の説によると、関東で大地震が起きて、それで本州の地震は終息するとしている。その時誰が総理大臣なのか、私は興味がある。逆に言えば、政治家の中で、誰が一番運が悪いか、とも言える。

例えば部活動で、誰かをキャプテンに選ぶとき、技量とか統率力も欲しいが、一番大切なのは「幸運であること」と私は考えている。くじを引くのはキャプテンだからだ。名将は運が良いから名将なのであって、「悲運の名将」は矛盾した言い方だ。だから科学的な予測も大切だが、見方を変えて、政治家の人物占いとかも必要ではないかと思う。

さらにその際の被害総額は100兆円とも300兆円とも予想されている。戦前の日本が大陸進出=満州帝国建設に向かったのも、1923年に起きた関東大震災で経済的に行き詰まったことが遠因だとされている。しかしこの動きは震災から22年後に、歴史的にも稀な悲惨な敗戦として終わった。

さらには大正~昭和初期にかけての日本がとにかく貧乏だったのは、生産性はともかく、1903年に起きた日露戦争の戦費償還にお金が消えていったからだ。ちなみに返済が終わった時期は諸説あって不明とされ、一番長いので、昭和の間ずっとかかったと言う説=約80年説があるが、話半分でも40年かかったことなる。国単位だと借金を返さない国も数多くあるなかで、そんな日本を誠実と取るか、馬鹿正直と取るかは、それも諸説ありそう。とにかく第2次関東大震災の被害は、なるべく小さく終わって欲しい。

2022年4月 知床半島沖で観光船 KAZU1 が沈没

まだ行方不明者が数名おられるが、その全員がほぼ絶望視されている。大変痛ましい事故だ。直接の原因はもちろんこの船を運航していた杜撰な観光会社にある。しかし遠因はやはり1990年代終わりから始まった規制緩和だろう。似たような事故は陸上でもバス事故やらで起きていたからだ。規制を緩めて、景気を上げるのは良いけど、今の役所の人員数では、すべてに目が届くのはほぼ不可能だから、結局は業者の安全意識に頼るしかない。その業者がとにかく金儲け主義だと…。

2022年5月 愛知県豊田市の工業用施設で大規模な漏水

この年の同月には「沖縄復帰50周年」もあったが、私はこの明治用水の事故の方に興味があった。しかし治水・土木は難しい。弱い川底を通って水が「トンネル」を作り、堰をくぐって、あちらからこちらに流れてくるなんて予想もできない。まるで映画「大脱走」ではないか。

前年の10月には和歌山市北部の紀の川にかかる水道橋が破損⇒落下して、6万世帯が断水する事故があった。原因は海から拭いてくる潮風による腐食だったという。これからも昔にできたインフラがボロボロと自然に壊れていることが予想されるから、地方自治体は予算の捻出が大変だな、と思う。

2022年6月 福島第1原発事故で最高裁は国の責任を否定と初判断

確かに「想定できない規模の地震のために、責任はない」と判断されてしまえば、それで終わりだ。実際に凄かったし。しかし一国のエネルギー政策を受け持つ装置がこんなに脆弱でいいわけがない。「電気を作る原発で、停電が起きて、それが原因で事故が起きた」のでは「出来の悪いブラックジョークか何かですか?」と疑ってしまう。補足意見でもいいから「国に事故の責任はないが、被害者になってしまった人の救済措置は立法の後、十分に行う責務がある」として欲しかった。

2022年7月 安倍元首相が奈良で応援演説中に銃撃・死亡

最初にこのニュースに接した時、ドラマの「SP」を思い浮かべた。その後、元首相が死亡したとのテロップが流れた後、あの人は国政選挙で6連勝するなど(8連勝だったかも?)非常に運の良い人だったが、まるでまさに運が尽きたみたいに、あっさりとあの世に逝ったなあ、と考えた。

でも問題はその後で、統一教会あるいは統一協会の政界癒着が表に噴出してきて、まだこれからも続きそうだ(件の集団は、宗教集団にはあまり見えないので『協会』の方が良いように感じる)。前にも書いたが、与党は真剣にこの問題に取り組み、手を切らないと、また第2、第3の山上容疑者が出て来るかもしれない。正念場だと思う。

2022年8月 米下院議長、台湾訪問=25年ぶり

いくら大統領と「仲がいいです」をアピールしても、交戦を決定するのは議会だ。そしてやはり民意を反映する議院が、アメリカなら下院が心理的に優位を占めているのも常識だ。そこの議長を呼ぶとは、さすがしたたかな台湾だな、と思った。日本ももう少し真似をしたらいいのに。

日本が複数の国と連携して世界問題に対応する、というのは、実は経験値が乏しい。戦前は孤立してしまったし、戦後はアメリカだけだ。アメリカは事に対応する時は、複数どころか5か国以上と連携する。こういうところを見習うべきだ。

2022年9月 エリザベス英女王国葬

長い治世だった。多くの人が弔い、元植民地だった所の多くの人が「謝罪しなかった」と弔いを拒否した。ヨーロッパ主要国の今の繁栄は、植民地からの富の収奪によることは明らかなのに、それを謝罪しようともしないのはいっそ清々しいほど天晴だ。

それはともかく、王位継承者が男子も女子も含めて、20人以上いるのは心強いだろう。不安定な日本とは大違いだ。荘厳で厳粛な葬儀を見てしまうと、日本の元首相の国葬が貧弱に見えてしまったのは、本当に運が悪かったとしか良いようがない。しかしこれは本来慎重に対応するはずの「人の死」を、利益にするという気持ちがあったために(としか思えない)、現首相には残念な結果になったと述べては過言だろうか。

2022年10月 ソウルで雑踏事故 ハロウィーンの梨泰院

150人以上が死亡するとは全く痛ましい事故だ。ほぼ全員が「群衆雪崩」による圧死とみられる。事故が起きる1時間前の映像を誰かがアップしていたが、その時点でもうすでに危ない気配が漂っていて、撮影者も「危険を感じてすぐに立ち去った。しかしそれでも抜け出すのは困難だった」と証言している。

そもそもハロウィーンとは、日本の行事になぞらえば節分だ。節分の深い裏の意味は置いておくことにして、基本的には「鬼」を払う行事だ。ハロウィーンも悪霊が家の中に入ってこないように、ジャックランタンを外に置いて脅かしている。と言うことは、外は悪霊だらけ、となる。そんな夜に外を出歩いてはいけないな、と思った。

2022年11月 米中間選挙、共和が下院、民主が上院支配

この結果で、アメリカ人は現在、まともな人の数とそうでない人の数が拮抗していることがわかった。世界にとって、非常に危うい状態だ。でもそれだけ不満が溜まっているのだろう。すべてはネオリベの目指した「新自由主義」の負の遺産だ。ハリス副大統領が勝利演説の最後に「アメリカ国民は、decency(=まともなこと、品位、上品なこと) を選んだ」と言ったのには笑ってしまった。確かにトランプ全大統領はあまり上品ではなかったから。

2022年12月 アルゼンチンが38年ぶりにWCで優勝

リオネル・アンドレス・メッシ・クッシッティーニ選手(名前が長い!)は、自分のキャリアに「WCで優勝」を加え、コンプリートする。私はサッカーにはあまり詳しくないので、立ち入った解説などできないが、メッシ選手が言うなれば「スーパーサイヤ人ゴッド」から「スーパーサイヤ人」にレベルダウンし(てくれ)たことで、他の選手が追いつけて、チームがまとまり優勝したのではないかと考えている。そこで思い出すのが、2012年のロンドンオリンピックで、日本水泳選手団の若手スイマーたちが「(北島)康介さんを手ぶらで帰らせるわけにはいかないぞ」と一致団結して銅メダルを獲得したことだ。

アルゼンチンの若手選手たちも「俺たちの英雄メッシを手ぶらで帰らせるわけにはいかない」と頑張ったのではないだろうか。何しろ、彼ら若手にとってはメッシ選手は憧れであり、フェイスブックなどには、まだ子供の彼らと、少し若いメッシがどこかのサッカークラブ内で、一緒に写る写真がたくさん公開されているからだ。そんな英雄メッシが彼らの出すパスを受けてくれて、そして彼らにパスを出してくれるなんて、そして勝つとは、それこそ夢のような時間だったのではないだろうか。メッシ選手も幸せ者だが、若手たちも、中堅たちも幸せ者だ。

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まあこんなところでしょうか。12月はまだ残っていますが、以上でまとめにします。

今年はお世話になりました。
皆様が、快い年末と、穏やかな年始をお迎えになりますよう、祈念いたします。
来年もよろしくお願い申し上げます。