誰にでも中々覚えられない単語がある
世の中には「相性」という厄介なものがある。それは人と人だったり、人と動物だったり、人と仕事だったりする。そして人と無生物である言葉とも相性があるように私には思えてならない。
例えば子供の時私は、「悪」と「要」という言葉の区別がつかなくて困った時期があった。同じことが「熊」と「態」、「雲」と「雪」などだ。これらが出たテストでは、おかげで痛い目にあったことがよくあり、今でも覚えているぐらいだ。
紙に抜き出して書き、目の前に置いておく
そこで仕方なく、漢字を10cm四方の大きめの紙に書いて机の上に置いておき、勉強の途中とか、本を読んでる途中とか、あるいは机の側を通りかかった時にチラチラと見ることにして、なんとか克服することができた。よく祖母に笑われたものだ。今から思えば、しょうもない間違いだが、当時の私には大事だったのである。
これは中・高校生になった時に、中々頭に入らない英単語や漢字に出会った際にも採った。はたから見れば「何してるんだ」と思われたかもしれないが、どうしてもどうにもならない場合は、とにかく何かをしてみることだ。
派生語を入れると膨大な数になる
それはさておき、英単語集に話が戻る。例えば literature 「文学」という単語がある。
これが載っていない単語集は、それ自体が相当レベルが高いか、幼児用などのレベルが低いものであって、普通の高校生用なら必ず掲載している単語だ。
対して派生語である、
literal [形] 文学の、
literacy [名] 読み書きの能力、
(現在では「メディア リテラシー=情報を読み解く能力」で世に知られている単語でもある)
literally [副] 文字通りに、
literate [形] 学識や教養のある人
となると、見出し語に載っていることもあれば、派生語欄に載っていることもあるし、ちょっと不備なものだと、どれかが抜けていたりする。でも全部、大学入試、あるいは英文を読むのには必要なモノばかりだ。さらに熟語を使った書き換え問題でも必須単語だろう。
さらには語頭に il- が付く反対語
illiteracy (読み書きができない、文盲の)、illiterate (教養がない)も頻繁に出る。
分厚くなってやる気がなくなるから
これらすべてが、見出し語で掲載されている市販の単語集はない。学校内販売ならあるかもしれないが、見た記憶はない。ほとんどが、一部の語を派生語欄に入れてしまっていることが多い。
高校生を指導する時、いちいち指摘するのが面倒だったので、いっそのこと全部を見出し語にして欲しかった。そうすれば「おお、これはすべて大切なのだな」と学生も思うのになあ、と考えていたことを思い出した。
しかしそんなことをしたら、単語集がすご~く分厚くなってしまって、やる気がなくなるだろうし、重たいから持ち運んでくれないだろうという「学習的 兼 商業的配慮」の方が働いたと推測できる。
まだ少し続く。