2番目のお母さんの漫画の方が刺さった

特に注意したいのは、最初の怒りまくるお父さんのパターンではなく、後の心配性から始まったお母さんのパターンだ。もちろんこの例で上がっているお母さんが、子供のことを大切に思っていることは間違いがない。幼稚園が始まる3才ぐらいになると行動範囲は広がるが、当然危険遭遇率も上がるからだ。

そしてあれこれ「先回り」をして失敗しないように「危険と思われる物=危険物の芽を摘んでおく行動」に出る。間違いではない。温風が吹き出るヒーターの前に柵を作ったり、地震が来た時に倒れたとすると、大けがをしてしまうかもしれない硬くて大きい物体は、上に置かない、などはどんどん励行するべきだし、しないといけない。

失敗することも子供には大切

しかし失敗しても取り返しがつくものは、ある程度は放置して、「失敗してもらう」方が、結局は覚えが速いことが多い。つまり「痛み」も知って、次回に備える、にする。これはまさに本番で失敗した時に、臨機応変にどのようにカバーしたらいいか、知恵を回す練習になるからだ。人生なんて失敗の連続で、時々成功するだけ、と考えておいた方が精神衛生にも良い。

トイレ自主的実行問題は、スプーンからお箸に切り替える練習や結婚式挙行と同じぐらい、人生の最大イベントの一つだ。そして自分から乗り越えなければならない、自分で乗り越えなければならないイベントだ。せっかくの機会を潰す手はない。

先回りし過ぎて、結局うまく行かなった

こう思うのは、私がやはり、どうしても点数を上げなければいけない塾講師だからだと思う。そして「心配事」が先に立ってしまい、あれもこれもと世話を焼き過ぎた時期があった。で、それで良かったのかというと、案外そうでもなかったりする。まさに「過ぎたるは及ばざるが如し」であった。

その関門は「基礎の発展レベルの克服」だ。ここが一番難しい。勘違いしてはいけないが、「発展の基礎レベル」とは違う。基礎と発展の中間あたりのレベルだ。現実の世界では、、EU&NATO諸国とロシアの間にある「緩衝地帯=バッファエリア」のことで、国ならウクライナやフィンランド、スゥエーデンにあたる。ここは人間の現実世界でも紛争が起きやすいように、勉強の世界でも同じだ。

基礎の基礎は仕込んでおくのは当然だが

そして自分であれこれ対策を考えてもらい、自分で実行してくれた場合の方が良かったりした。ただし基礎の基礎の整備はきちんとしてあることが前提だ。日頃私は「失敗は失敗の元」と言っているが、それは基礎の基礎で失敗し続けるとやる気を失うから、の意味で言っているつもりだ。

さらに本人にとっての「基礎の基礎」は、成長と共にグレードアップしていくことも忘れてはならない。段階を意識することが大切だ。

現実の世界の緩衝地帯では、それこそ日頃からよく話し合い、何もしなければ・何も起こらないようにすれば、それで良いのだが、勉強の世界では放置しておくと、点数が低いままで、突破できるかどうかが分かれ道だから、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の精神で踏み込まなければならない。

しかし心配だからあれこれ干渉したくなるけど、一歩退いて、見ていたほうが良いですよ、と忠告したくなるのだ。

怒るお父さんの場合は難しい

最初の例の怒るお父さんを持つ子供の場合は難しい。特にお父さんに対しての効果的な方法があまりない。「魚屋に行って、大根を探す」のと同じぐらい、お父さんはダメで勘違いしまくっているからだ。そして「自分の思い通りにしたい人、うまく行かない場合はキレまくる人」に良いアドバイザーなりメンターなりが付いてくれる確率もやっぱり低い。配偶者(子供のお母さん)に期待したいが、いないとか、いても意見を取り入れてくれない、という場合は、ますますダメな方向に行ってしまう。

身内に物わかりの悪い人がいると、結果として周りが困る。だからそういう人を必要以上に刺激しないことが肝心だろう。あるいは、お父さんより立場が強い人に、アドバイスをしてもらう手もあるが、ラッキーは期待しない方が良いだろう。

本人の成長を促進するのが一番の方法

もしかすると、お父さんの方から、買い物の途中でこんなことがあった、あるいは子供の方から、こんなことをしてお父さんに怒られた、と家族の人に報告するかもしれない。そうなら、家族は、子供とお父さんの2人だけで行動をする機会を極力減らすとか、それが無理ならお父さんと一緒に行動する場合は、とにかくお父さんの意見を最優先するように、と子供によ~く言い聞かせる必要がある。でなければまたこのようなことが再発する。

失敗した時が伸びるチャンス

こういう失敗をしてしまう子供の場合、ちょっと鈍いことが多く、あまり考えて行動しているとは思えないので、行動自体はあまり否定せず、ひたすら感情面に訴え、「今回は嫌だったでしょう?」と再三再四確認を取り、またあのような目に遭わないためには、自分がしっかりするんですよ、と言い聞かせる。つまり子供本人の成長に期待し、それを促進する方法を積極的に取ることだ。

前にも書いたが「嫌な思いをした時こそ、成長のチャンス」だからだ。