コースによって進路にぶれがある

例えば、英文法コースでは助動詞やら過去形が終わっていないのに、読解コースや会話コースで過去形や知らない助動詞を使うことになる。そもそも会話コースで過去形を使わない方が不自然なのだから仕方がない。しかし無理矢理に、規則変化なら ed が付いただけだよ~と教えて進め、不規則変化は丸覚えさせていくことでしのげることは、しのげる。

公立高校でも時々起きる現象で、例えば「使役動詞」「知覚・感覚動詞」を知らないのに、読解の授業で出る場合がある。そうなると生徒の方は「なにそれ?」となる。数学でも同じで、フルの平方完成を会得していないうちに、二次関数の最大最小問題に突入という場合もある。

私立校だと「憧れの型」がある

これが公立中学なら生徒のレベルも全般的にそんなに高くないから、先生方も考えていて、無理な授業進度を取らないから、あまり起きる現象ではない。しかし私立中学を選んで進み、合格した生徒なら、全般的に勉強はできるわけだから、先生もバンバン進めていく。特に数学と英語はものすごいスピードだ。結果、中学1年・2年で文法をサクサク進み過ぎて、メモリーオーバーになったり、知らない単語が多すぎたりすることもある。be動詞と一般動詞の使い分けができなかったりとかは日常茶飯事だ。いわゆる「消化不良」という状態に陥る。

この現象が起きる原因は、私立校には「憧れの型」があるからだ。それは関西では灘や東大寺学園、関東では開成などが採用している「中学3年間と高校1年間で中高の勉強を終えて、残りの高校2年間で大学受験の勉強をこなす」という「型」だ。憧れというよりは、仮想敵「国」ならぬ仮想敵「校」とも言えるだろう。都会の進学私立では優秀な生徒の奪い合いに勝たねば、生き残れないからだ。

対策はやはり「先取り」だ

個人的にはその対策として、英語なら、小学校3年ぐらから密かに個人指導を受けさせておいて、同時に私立受験もやって、中学入学ぐらいには、英語はもう中学2年生のことまで知っている、という策を取る家庭も多くなった。私もがそういう生徒を小学4年ぐらいから見ていたこともあった。

彼女(女子生徒です)は、別の塾で算数や国語の指導を受けて、合間にウチに通い、英語もかなりできるようになって、進んだ中学では英語はいきなりトップクラスになった。しかし「中学受験=算数・国語・理科・社会」だけで手いっぱいだった人たちは、中1からかなり苦労していたと報告を受けた記憶がある。私には関係のない人たちの苦労だから、まあそうだろうね、とだけ答えておいた。

これからは英語も中学入試の正式科目に入ってくる

覚悟してかからないといけないし、すでにそうなっている。中学受験はますます大変なものになるが、その波は公立中学にもある程度は押し寄せてくる。だから小学校であまりのんびりしていると、以前に述べた「江戸時代の牢屋は『手土産=命のツル=要するにお金』を持っていかないと、半殺しの目に遭ったが、現代の中学生活も同じで、小学校で準備していない人はエライ目に遭う」が、大規模で起きるし、現に起きている。

どれだけの人が本気で受け取っていてくれるかはわからないが、「開幕ダッシュが優勝の第1条件」「先んずれば人を制す」「正確な情報を得た者が勝利する」「幸運は準備した者にだけ舞い降りる」とアドバイスをしている。