共通テストのためには「無傷の微分・積分」が必要

妙な小題で申し訳ない。

さて数学であるが、中学数学はちゃんとできている、という前提で話を進める。具体的には中学3年生の時に80点以上は確保している、ということ。70点ぐらいではちょっと心許ない。高校数学は甘いものではないからだ。

で、その高校数学だが、2年生で習う、数学Ⅱの最後の分野「微分・積分」までいかに「無傷に進めるか」が最初のポイントになるだろう。三角関数や、指数対数関数、ひいては1年生で習う絶対値付きの不等式やら2次関数問題などでこけていてはいけないのである。もちろん数A分野の集合やら確率分野もできていないといけない。もっとも集合やら確率分野は数学的能力以上に、国語能力が問われるところなので、純粋理系人間には厳しくもある。ベクトルなどを含む数Bも同じだ。

不得意な分野がないこと

とにかく「すべての分野で弱点がない、あってもちゃんと補強されている」人でないと、これからの共通テストに対応していくのは難しいのではないか?と考えている。家を作る大工さんが、もし、ノコギリやノミ、カンナの使い方がおぼつかないレベルでは、まともな家が建築できるわけがないのと同じで、「思考する」ためには、「道具が使いこなされている」のが前提だ。それぐらいこれからの共通テストは、高いレベルを要求していくことが、出題様相を見ているとわかる。

お金の計算につながる数学がねらい目

特に今後は個人で資産を運用していくことが奨励=国家の福祉弱体化が進むので、対数やら指数を使ったお金の計算やら、数列を利用した総和の計算などの、「実利的勉強」に時間がさけるほどの基礎練習を積んでおける人が有利になるだろう。そこに達することができない人は最初から話にならない、と出題形式を見ていれば容易にわかる。できるんだろうか?という疑問は置いておく。できるようになる必要がある、ということ。

進学校でも注意

となるとやはり進学校への入学が奨励されるのか、となるが、その進学校がどういうカリキュラムで数学を進めて行くのか?をきちんと見極める必要もある。特に基礎練習に時間をちゃんと取っているのか、とか、授業に付いていけなくなったら補習はあるのか?とか、極端な話、補習の補習はあるのか?まで確認した方が良い。
変に「進学校」を名乗っているところに限って、進むことにしかエネルギーが使われていないことも多いからだ。

人間は忘れる動物であり、いくら記憶力が良い、若い十代の人たちでも、やはり忘れてしまう。人間である限り当たり前だ。そこでリマインダーとして問題演習の指導、つまり補給=ロジスティックシステムが機能していることが大切だ。できればその指導の際も、10人ぐらいで1グループの構成が望ましい。

やはり対面が効果的

私が高校生だった時は、緩い時代だったので、放課後などに数学の先生と数人の生徒たちが自主的に勉強していたものだが、今の時代は、そういうのを忌避する傾向がある。しかし面と向かってやらないといけない場合は、このネット全盛の時代にも厳として存在している。

多くの会社がコロナ騒動から、闇雲にリモートになっているが、顔をきちんと合わせることに価値を置く人たちは、隠れていてもやっている。こうなると、画面越しでしか人と会わないことにしている会社員の人たちは、その時点で負けてしまっている。大きな石垣を支えているのは、裏面にある「裏込石=後詰めの石」と「間詰石=大石の間を支える石」なのだから。

学校でもコロナ騒動の圧力に負けずに、対面で指導を継続してもらいたい、と古いタイプの私なんかは考えている。