日本人にはあまりなじみがないが、大きな出来事だった戦争

去年、暮れの押し迫った時期、その時間の合間に「独ソ戦史」(朝日文庫 860円 )という戦争記録物を読んでいた。受験前で忙しいというのにお前は何をしているのだ、と非難されそうだが、息抜きの合間に人生を送ることも立派な考えであろう。

以前に「読めばわかるかもしれない近現代史」をいうものを作った。実は第二次世界大戦でのドイツとソ連の戦争背景の知識が少し弱い気がして、避けていたのである。だから1945年から始めた、というのが内実で、内心では「もう少し深めてから」と感じていた。

しかしなかなか良い本がなくて、困っていたところ2年前の暮れに、ひょいと本屋で見つけて、去年の年末年始をこれを読んで過ごした(ただし大掃除をしながら)。今でも時々読み返している。コロナだ、グローバリズムだ、隔離だ、ワクチンだ、と世の中は騒々しく、自分のしていることが浮世離れしているのは重々承知で、開き直って、70数年も前の戦争を調べている。

もう一つの動機は「鷲は舞い降りた The Eagle has landed」という小説の中で出てくるドイツ軍人が「冬季戦争従軍章(正式には東部戦線冬季戦記章というらしい)」という勲章をすごく誇りにしているシーンがあって、なんでだろう?と素朴に疑問に思っていたからだ。この小説のことは以前に少し紹介した。

戦争は避けたいが、避けるのには知恵が必要

私自身は戦争など嫌いだし、起きない方が絶対良いと思っている。仮に起きても、我が国が巻き込まれなければそれでいい、と考えている横着者で自分勝手な人間だ。なのにホイホイと「戦争大好きアメリカ」に追従している政権を見ていると、かなり心配だが、反面「さすが自民党はCIAの肝いりで創設されたアメリカの『御代官様政党』だな」と首尾一貫していて、ある意味いっそ清々しい気持ちがするから不思議だ。

話は戻って、今まで起きてしまった戦争を振り返らない、検証しないという態度はだめだと思っている。人間のいる限り、戦争はなくならないだろう。良い例がSFアニメの世界では宇宙を舞台に戦闘機やロボットが飛び回っている。人が夢見る未来は良いも悪いも必ず「実現」する。
だったら、「戦争も文化の一つ」と割り切って考えるしかない。

また個人的には戦争未亡人で、戦後苦労の多かった祖母の影響が大きいのだろう。まさか自分がこんなことを調べるとは思わなかった。そして反省するべき点は自分なりに考えている。もちろん私一人ぐらいが反省しても何も起きないが、考える材料にはなって面白い。

私はミリタリーおたく=いわゆるミリオタではない

もっとも、さすがに「オスプレイ」ぐらいは知っているし、「エリア88」のファンだったから、少しぐらい飛行機を知ってはいる。でも現在の、現実の自衛隊やアメリカ軍や外国軍などで使われているミサイル、戦車、ヘリコプター、艦船などの名前も性能も知らないし、本棚には、ミリタリー関係のものは一切入っていない。知っている事は新聞テレビで得られるぐらいの情報、つまり軍事的には素人だ。

さて「独ソ戦史」だ。
当時はドイツ側の指導者が黒い悪魔 アドルフ・ヒトラー、ソ連側は赤い悪魔 ヨシフ・スターリンだ。すさまじい対決カードで、どちらが勝つかと賭けた人も世界中に大勢いたのではないか?

2人とも独裁者で、他国自国に関係なく、人を殺した数はとんでもなく多い。ただ多くの人が熱狂して彼ら2人を支持し、戦争に躊躇いもなく突入した歴史的事実は重たい。独裁者ってやっぱりかっこいいのかな?

結果は、前半の前半はドイツ圧倒的有利、前半の後半と中盤からはソ連が巻き返した

どちらも決定打は放てず、泥沼の消耗戦に突入、結局はスターリンの外交が奏功してアメリカを引き入れたことがソ連の勝利につながり、1945年5月にドイツのベルリン陥落、ヒトラーの自殺で、「激闘1416日の独ソ戦」は終わる。

両国合わせて軍人と民間人の合計で約3115万人が戦死ないし巻き込まれて死亡、つまり1日あたり約2万人が死亡した計算になる、とこの本にあった。1年ではなく1日だ。気が遠くなりそうな話で、めちゃくちゃだ。映画「スターリンググラード」を鑑賞すると、当時のソ連の雰囲気が感じ取れる。

特にソ連側では「命がすごく軽い」印象が強い。たぶん今でもそうだろうし、中国でも同じだろうから、あのような国々を戦争相手にすることは、まさに愚の骨頂だ。勇ましい意見に釣られずに、冷静に知恵を絞らないといけない。核兵器のある現代ではなおさらだ。

まだ続く。