「アンナ・カレーニナ」の冒頭部分ではないが

たくさん知っていても、点数が取れるとは限らないのは事実だが、高得点を取る人は例外なく、「たくさん知っている」人である。もう少し正確に言うと、たくさん知っていて、同時に整理整頓ができている人だ。

英語ならその単元に関係ある英単語をたくさん正確に知っている人であり、数学ならやはりその単元に関係する公式・公式の適用場面・こなした計算の量が多い人であり、国語なら漢字・2字の熟語、読んだ文章の量が多い人だ。

その「物量」を生かして、テストに臨み、点数をかっさらっていく快挙を成し遂げるのだ。これは「資金力」と「情報収集力と分析力」を備えて、市場を席巻する「仕手戦」を仕掛ける相場師や、第二次世界大戦終盤には、商船を改造した護送空母まで投入したアメリカ海軍に似ていないか?

「勉強資金」は単語・漢字・計算力

だから生徒たちには「資金力」になるのは単語だ漢字だ計算力だ、英単語集が愛読書になっているか?国語なら国語便覧を覚えるまで何回も読んだか?、間違えた計算問題は必ず最初からやり直し、正解した場合は前の不正解と比べて、自分のミスの癖を知ったか?と、と急かすのである。

困ったことに一朝一夕にはこの「資金」は貯蓄できない。ものすごく時間と手間のかかる代物で、日頃からケアしていかないと絶対にどうしようもない。まさに「一夜漬け」のきかない分野で、地味な作業で、地味な根性=継続力が必要だから嫌われる。

現実の銀行に預けると利子が付いて少し増えるのだが、「脳みそ銀行」はマイナス金利が標準で、しょっちゅう通帳(=単語帳や漢字ドリルのこと)を見て確かめておかないと、いつの間にか残高ゼロになってしまうのだ。

漫画「ハイキュー!!」の春高バレー特製のTシャツに「根性を笑うものは根性に泣く」とあったが、この地味な作業をしている人は、スマホ搭載の検索エンジンや、 Google神に頼っている人の何倍も「思考力」が付いてきて、最後に「地味派手」に勝利するのを何回も見てきた。

こういう喩え話を生徒にして「勉強は資本主義ですよ」「でも十両より十銭を大切にね」「たくさん持っているものが富み栄え、貧乏な人はず~っと貧乏なままの、負のサイクルから抜け出せないよ」などと話していると、まるで自分が守銭奴か、良くて悪徳商人になったような気がして、別の喩えはないかな~と、最近模索しているのである。

その資本主義について愚考すると

さて、今話題にした「資本主義」だが、人間は欲に塗れていることを否定できず、それを法律でくくって規制しなければ暴走してしまう性がある。ビンボー人である私には別世界の話だが、何やら全世界の富の半分を上位8人が占めている、という異常な事態になっているようだ。

これは別の意味で気になる。馬鹿な話だが、もしこの超大富豪である彼らが「独立して国が欲しい!」とか言い出したらどうなるのか?

なにしろ貧乏な国なら、インフラや軍隊ごと買い取れそうなぐらいのお金を持っている。ロシアなんてやたら広いから、ちょこっとぐらいは地面を売ってくれるかもしれない。現に昔、アラスカをアメリカは買った。

そして首尾よく国土=土地を手に入れた後、継続的な資金調達の目玉として「核廃棄物の投棄兼管理所(もちろん管理費用はもらう)」を提供する、なんてしたらどうなるのかな~とか妄想してしまう。日本なんか飛びついてしまいそうで、危ない。

「主権の象徴として軍隊も欲しい!」とか言い出したらホントにどうなるのか?

まあ国を持つ、で留めてくれればいいが、「主権の象徴として軍隊も欲しい!」とか言い出したらホントにどうなるのか?傭兵部隊から指揮官レベルの士官を雇って、兵士の調達はクローンで済ませる、クローン培養のマスター細胞を提供してくれた人には年金レベルのお金を渡す、とかで募集すればOKかもしれない。

人間のクローン作成を禁じているのは、倫理とか宗教ではなく、個人に「軍隊」を持たせないためという極めて俗世間的な理由だ。放置すれば「お金」の力でこの薄っぺらいタブーは打ち破られてしまう。

さらにSFやSF漫画の世界では「星を所有する」という話まである。超お金持ちの子孫が宇宙開発ができる時代になったら「星が一個欲しい」なんて言い出すかもしれない。

つまり、このまま行ったら「国ができる過程」という歴史的・常識的な定説やら概念がひっくりかえってしまうかも。それはそれで「人類の進歩」なのか?