もし彼らが実力行使で国を変えようとしたら
前に「子供たちの方が先を行っている」と書いた。
最近の漫画は本当に優れたものが多い。登場人物のセリフもよく考えられていて、下手な三文小説に比べれば、作者、編集者、兄弟などの取り巻きの人達まで、レベルが相当高いことを教えてくれる。
1960年代のスポーツ漫画はあれはあれで良かったが、最近では、大変科学的になり、心理面での駆け引きの描写もすばらしい。あるいは完全にフィクションのファンタジー分野でも、社会のことを扱い、少し大人びたことを少年少女たちに伝える方法も発達し、現実世界ときちんとリンクしてあって、「ありそうな話」を踏まえているものもある。「鋼の錬金術師」はその代表だ。中には子供でも現代社会を破壊できる技を教えている「ブラディー・マンディー」などもその筆頭だろう。
ゲームも本格的で、人型操縦格闘技をテーマにしたものなどでは、バッテリーの残存量まで規定されているぐらいだ。ドローンを変なところで使って警察に怒られている人たちもいるが、彼らはそういう最先端の技術から降りてきた技術もためらいなく取り入れるだろう。昭和のガチガチの軍人たちとは違って、戦術や兵站の理解もものすごく進んでいる。
日本の特性を踏まえた革命軍を作って
今の日本の中学生や小学生が、心の底で「学校で教わった『民主主義』はどこか変だ」「大人たちは法律を破ることが悪いことだと思っていない」と明らかに気づいている、と私自身が感じている。
10年後ぐらいに、サイバー空間をも制覇できるハッカーも抱えた「革命軍」が、株価操作で資金を手に入れ、3次元プリンターで武器を作成し、同時に自衛隊にも同志をもぐりこませ、通常国会が開かれている時期に、国会を占拠し、第二の「ニ・ニ六事件」を起こす可能性も否定できない。
そして国権奪取に成功したする。それにとどまらず、その時の内閣閣僚を1人も害せず、総理ともども総辞職させ、北一輝の計画通り、皇居を手中におさめ、天皇陛下を礼儀正しく奉戴して、政治的正当性を持った一大クーデターを成功させたのなら、どうなるであろうか。国民が彼らの革命政府を承認する可能性は高いと思う。
今、ヘイトスピーチをやっている大人も、子供の時は「平和な世界を作り上げることが僕たちの使命です」と先生の前で発言していたはずだが、それが欺瞞にすぎないことを大人になってわかった部類だろう。ただしあの手法には全く賛同できない。また中国の脅威をただただ煽るだけだ。あれでは中国側も不愉快に感じないはずがない。敵を増やし、日本の品性を落とすだけだ。
また世界に対するアピールも足りない。カタカナ英語があふれているのは、それだけたくさんの技術が世界で、特に英語圏で生まれているがゆえに、日本語にしにくい、ということを表している。日本語のままで世界に通用するのは「manga」とか「anime」ぐらいで、文化や技術では、まだまだ日本は後進国だと意識しなければならない現実から、目をそらしているように見える。その点中国や韓国の人たちが、アメリカやヨーロッパにつっこんでいく姿は見習うべきだろう。
案外今の子供たちが大人になったら、以上の妄想を実現するような日本にするのではないか。 そんなことをもう少しで始まる期末テストと夏期講習の準備を進めながら、どこまでヒマなのか、と呆れている。