中学英語新課程は1年生分野に統一性がない

現在、New Crownを対象に、単語・英文確認テストを作っているのだが、「これはやっつけ仕事だな」と感じることが特に1年範囲の教科書にとても多い。2年~3年は「こんなものかな」と思える。もちろん細かい点には不満はあるが。それとも「小学校英語の定着までの過渡期」にある教科書なのだろうか。どちらにしてもかなりいい加減な造りをしているため、これを使って勉強を進めなければならない中学生たちが、気の毒で可哀想になってきた。

今まで、色々な教科書の変遷を紹介してきたが、理想家が作る場合はホントに無茶苦茶になる場合が多かった。ここ数年でようやっと安定してきたが、全て壊してしまったようにも思える。

それでも私は対応していく自信はある。VITALs はまさに「混乱した中1範囲を収拾するためにある」からだ。ただし週3回の時間は必要だ。1年生で週3回は多いのだが、数学も教えていくためには仕方がないだろう。

高校英語でも文法書をきちんと読んでいる人は少ない

さて、中3分野だが、後置修飾のことも、最近の教科書ではようやっと強調されるようになったのは、喜ばしい。まとめページもある。

昭和58年~昭和63年、および平成元年~平成4,5年に、つまり30年~20年ぐらい前に、学習内容削減が始まり、その時の教科書にも「まとめページ」はあったが扱いが小さかった。しかし平成4年ぐらい、つまり1993年ぐらいの教科書ぐらいから「まとめページ」が次第に大きくなって、強調されるようになり、カラーはともかく例文も増えてきたから良かったな、と思った。

でも授業で強調してそのページを使っている中学校の先生は少ないようだ。これは高校の先生にも言える。
最近の高校の文法の授業は入学時に英文法参考書 FORESTとか CHART を購入する。そして授業では FOREST とか CHART とかの並び・構成に沿って作られた、「まずこれを最初に知ってくれ」的で、大事な部分だけを抜き出してある、少し薄い「副参考書」とでもいうべきものを主体に進める。

「副参考書」はノート形式の場合もあるが、さらにそれに沿って作られたプリント類を解答することで復習をするという、私たちが学生だったころに比べれば、極めてシステマティックな形だ。

しかしこの英文法の授業で FOREST とか CHART などの「主参考書」を授業で「はい、参考書の~ページを開けて、ほれ〇〇君、…行目を読んでみなさい」というスタイルの先生はまずいない。

だから生徒の方は授業にFORESTやCHARTを持ってこないし、家でも開けたりしないから、そのうちどこかに参考書が行ってしまって、行方不明、ということも多い。せっかく入学時に購入しているのに。

渡しているから、自分で読むだろうと期待しているのかな、とか :どうせ読まないけど、渡したから責任は果たした、と先生たちは考えているのだろうか?

なんだかおかしくないか?
その分厚いのを読ませるためにルートを作っているはずなのだが、キチンと読んでいる人は少ない。嫌々でも、文法参考書を読むのも「読書」ではないか。

読書時間を強制的に作れ

「読書をする人間には2種類ある。何を覚えようとする人間と、何かを忘れようとする人間だ。」誰が言ったのか知らないが、たぶん偉い人だろう。

確かに最近の人はあまり本を読まないらしい。確かに小学生は良く読んでいる。でも一番本を読まないといけない高校生は一番読んでいない。「子供の書籍離れなどない」 というデータだけを見ると、安心しそうだが、高校生だと一か月に2冊ぐらいしか読まず、不読率自体が高いままであることは心配だ。

もっとも高校生向けの本は、その内容そのものが難しいから、読むのに時間がかかり、2冊でも良い方かもしれない。私の愛読書「モンテクリスト伯」だが、高校生の時に、岩波文庫で1巻から7巻まで読むのに、相当時間がかかったから大きなことは言えない。モンテクリスト伯についての感想は改めて書いてみたいと思っている。

また高校生諸君は、勉強や部活に忙しいのか、それともスマホなどのいわゆる「デジタル本」を読んでいるのか、その点は不明だが、もう少し古典本なども読んで欲しい。

ただし古本の売れ行きは伸びているというデーターをどこかで見たから、紙の本を読む人は確実に増えているようだ。この傾向はもう少し浸透するまで、待たないといけないだろう。

本を読まない人には、その「価値」が感じられないからだろう。しかし文法参考書を読めば成績が上がり、合格する確率は高くなる。十分「価値」があると思うのだが。学校の先生がもっと生徒を煽るべきだ。

あるいは学校全体で、「参考書読書タイム」などを意図的に作り、ムズカシくて、読むと良質の睡眠薬である英語文法書を、もっと読ませる方向に進めた方が良いだろう。大人びた高校生君でも、案外子供のところがあるから、皆でやれば乗ってくるはずだ。