手をかけるべきところを放置し、手をかけてはいけないところに手を突っ込んでいる

だが、残念にも「肝心なところ」を外している人たちが多くなったようだ。

例えばこの前見かけたのだが、幼稚園や保育所に通う時に、安全のために手をつないでいくのは良いが、重いだろうからと、かばんを持ってあげてはいけない。かばんの中には半日自分が生活するための重要アイテムが入っている「貴重品袋」という感覚を、幼いころから植えつける必要があるので、このような重要アイテムは自分で管理させることが必要だ。

まだ理解できないだろうから難しい話はしない、というのも、やめておいた方がいい。話す時は話し、きちんと聞かせる。犬や猫でも人間の言葉はわかる。ましてや学習中の人間の子供だから、意味がわからなくても、記憶は残る。脳は不思議な器官で、どこかに記録しておき、何かの拍子にフイと思いださせる働きがあるということは証明されている。

人の話をまず聞け、と諭すことも必要

人の言うことを聴かない子供、こちらが話している最中に勝手にペラペラ話しかけたり、話しに耳を全く傾けない場合は制して、まず言うことを聞け、人に耳が2つ、目が2つ、しかし口は1つしかないのは、人の話をまず聞け、という意味だと諭すことも必要だ。

自分の好きな事をさせてやりたい、という保護者も多くなった。それ自体は反対もしないし、長期海外留学ができるぐらい裕福ならもっと問題はない。しかしそんな親の姿勢で、中学校に入ってから、嫌な事でも積極的にする人に急になれるのだろうか。むしろ逆だろう。好きな事以外は拒否する傾向が強くなってしまう。人生には嫌なことでもしなければならない場面はいくらでもある。その時に踏ん張れるのか?

小学校4年生ぐらいから算数や国語が怪しくなってくる人の大半がこの傾向がある。ここで適切なケアをしておかなければ中学の数学でつまづくこと必至な例もたくさん見た。その点は甘やかしてはいけない。結局損をするのは親・保護者とその子供である。嫌な事でも、一定時間、一定期間、基礎的・基本的なことに向き合わせ、慣れさせるのが一番精神的成長を伸ばすものだ。そもそも基礎や基本とは単純・単調・面倒なものだと教えてもいい。ただし良い結果が出なくても、責めてはいけない。我慢したことを褒める。

目標を明確にするとうまく行く場合もある

例えば英語が嫌いで、単語を覚えない、覚えられない人がいたとする。このような人には、英単語が今の自分にどれだけ重要かをアピールするために市販され、定評のある重要単語集を買ってきて、その索引と教科書の単語との連結をさせるとか、スマホアプリを活用してとにかく慣れさせることが一番だ。

調子が出るまで最低でも1週間はかかるだろう。その後すぐに覚えることを強制しなければいけない。そして如何に自分が自分を甘やかしているかを実感させなければならない。これが「苦痛」を与える方法だ。

それも毎日させるのだから、普通の時には無理だ。一番いいのは、定期試験から定期試験までかなり日にちのある時、1学期期末が終わって夏休み中とか、2学期期末の終わったあたりから、3学期学年末までの間が有効だ。3月最初から4月の始業までの「春休み」も有効だ。しかし学期が始まったからは「投入」してはいけない作戦カードであることは胆に銘じておく。その間は学校の勉強だけで手一杯だろうから。

精神的成長は1日で成し遂げることはできない。意識的になら、とっかかりで100日、完全に慣れたな、向上したなと思わせるレベルには200日はかかると思って始めた方が良い。