6月になって少し慣れてきた人に忠告みたいなもの

塾は生徒に勉強を教える側面と、経営=ビジネスという側面があり、現実のニーズに答えないと、継続できない。でも私は生きている世界が狭いことも認識しているので、以前は、ヒントになるものを求めて、ビジネス雑誌などをよく読んだ。私がアホすぎるのだろうが、ビジネス社会の風景は中々刺激的だ。ネットが普及してからはビジネス・サイトにはよくお邪魔して「情報収集」をしている。

特に「会社で働くおじさんの世界」は未知ゆえに、皆でなんだかやっている、というのが羨ましい。たとえ上辺だけ、疑似体験だけかもしれないが、何も知らないよりずっとマシだし、さらに「見るだけならタダ」だ。悪趣味かもしれないが、人間の醜い部分もまるで「罪と罰」みたいでどきどきする。

でも「教える」という職業病がいつでも出てしまう。どんなサイトに行っても、どんな文を読んでも「ああ、これの考えは授業に使えないかな~、この言い方、○○君の説得に使えないかな~」と考えてしまう。

さて本題だが、よく「友達は選びなさい」と言う。「他人には親切にしなさい」とも言う。間違ってはいない。正しい教えだ。では誰とでも仲良くするのか、具体的にはどうするのか、案外子供たちはわかっていない。

私は生徒たちに
「その人の成績が良い、悪いは置いておいて、他人の悪口を言ったり、自分の現状を改善せずに何か言い訳だけしている人には近づいてはいけない。負のエネルギーをもらってしまい、精神的に悪影響を受け、結果自分の成績を落とすことも多い。その種の人とは、付き合い程度にしておきなさい」
とよく言っている。

なぜなら、その「社会」に適応できなかった人は文句を言ったり、言い訳をして自分をなだめることになるが、実は中学生や高校生で、勉強(あるいはスポーツでも良い)が、うまく行っていない人は、一杯飲み屋で文句ばかり言うサラリーマンと、ほぼ同じことを学校や人の目の前でしているからだ。

「友人」と「知人」を区別する

わかってきた人たちは、中学1年~2年の間に、「友人」と「知人=ただの知り合い」を区別するようになる。おかげで親・保護者に感謝されたことも多い。狡い・汚い・あくどいと思われるかもしれないから、「自己防衛」という言葉に置き換えておこう。うぶなままでは「学校」という社会では生き残れないからだ。

そして愚痴を言う人を喰い物にしているような人も、もう中学生でいる。そういうのにひっかかったら大変なことになる例も見てきた。

変な例だが、カリフォルニアで金が発見され「ゴールドラッシュ」になった時、一番儲けたのは、金を掘りに来た荒くれ男たちに、安くてうまい食事を売る店を経営した人とか、キャバレーなどの遊興施設を経営する人たちだった。もちろんそこに勤務する女性たちも、上手な人はいっぱい儲けたのだろう。そういう風になるならいいけど。…いいのか?

私は現在の学歴社会やその組織の在り方に疑問を呈示しているのではない。そのようなことは多くの識者が数多く主張しているし、完全に門外漢の私などの出番ではない。大人も子供も、中学生や高校生ひいては小学生でも、その属する「社会」で「成功」できない人は同じ言動を取る、ということに気が付き、そしてそれを回避する方法を知っておこうと思って、その方法を探っている。

やはり免疫を付けておくことが第1番の方法だ。
とりあえず大人は、「あなたの今の態度は、まるで負け組が集う酒場で、くだをまいている人と同じですよ」と告げる。もちろん内容は薄めてわかりやすく、できれば何かに喩えて、である。

一番良いのは、本を読むことだが、青少年が読める本で、実社会の怖さ、醜さを突き付けているものは、残念ながら少数だ。名作では「ラ・ミゼラブルズ=ああ無情」「アンクル・トムズ・ケビン=アンクル・トムの小屋」「荒野の呼び声」だろうが、なにしろ長い。

他はイデオロギーがかかっていたり、ホントかなというように少し危ういものも多い。そういうのは子供には向かないだろう。誰かそのような子供向けだが、人の醜さを語り、同時に対処法も知ることができる本を紹介してくれるサイトを開設してくれないだろうか。

親・保護者は、世のいい面ばかりを強調するのではなく、負、ダークな面も少しづつ教えておく、これを忘れてはいけない。