本当に調べてきた

まさか本当に調べてくるとは思わなかったが、その女子生徒はインターネットを利用、かつお父さんの協力の元、戦後の日本経済を支えた経済団体を調べてきた。もちろん私は終了間際に「財閥解体」だけでなく「日本経済団体連合会=経団連」「日本商工会議所」「経済同友会」というキィーワードは教えておいた。

で、調べてきたこの「経済三団体」は「アメリカのための日本経済体制を整備する」ためにあるのは明らかな事実、と教えるとちょっと彼女はびっくりしていた。でも本当なのだから仕方がない。

国を変える、とよく言うが、人間はスローガンやら思想を表に出しつつも、裏では「金儲けになるかならないか」を判断の材料にする。つまり国を動かすのは経済ということを忘れないように、と教えた。

で、こういう「がんじがらめ」の現在の日本の政権を交代させたければ、選挙で変えていくのは時間がかかるし、新勢力が出現しにくいように、選挙要件も厳格で、選挙供託金や費用も高すぎるし、落選すれば没収、これでは誰が好き好んで選挙など出るものか。また放送局などのメディアも、現体制にべったりだから、アピールしにくいし、アピールが受けたところで、なあなあの形に落ち着かせるために、「子泣き爺作戦」で抱きついてくる知名人や識者が多い。

そうなれば手っ取り早くクーデターという手段に訴えることになるかもしれない、と話すと女子生徒はしばらく考えこんでいたが、意図は理解したみたいだ。

資金と人的資源の調達を現在ではどうするか

昔は、資金や武器を手に入れるのも、メディアをかく乱するのも、難しかった。しかし現在では、まずはインターネットを使い、人的組織形成を始め、サイバーテロができる人材を開発するのもあり、と言うと、女子生徒は「SNSとか、クラウドファウンデングとかもありますもんね」と知識を披露した。

確かにインターネットはアメリカなどの監視下にあるから、連絡はとりにくだろうが、原始的な暗号である、独自の乱数表をアナログで使ったら、元が漏れないかぎり、盗聴できてもなかなか解読はできないし、古い失われた言語を蘇らせて、自分たちの公用語にする手もある。変な話、マクロスの映画版みたいに「勝手に言葉を作る」手もある。

そうなると全然わからないだろし、確実に時間がかせげる。また解読された時のために、他に3つ4つ言語を用意しておけばいい。言語オタクなんてどこにでもいるから、お金をあげて作ってもらっても良い。そしてクーデター中は海外に観光に行ってもらうか、どこかに保護隔離しておくのである。

サイバー的、純軍事的にも技術力を持ち、民間に被害を極力与えないように、ピンポイントで公的機関だけを攻撃できる能力を持った団体が、今の若者の間に形成されたら、案外簡単に政権を転覆できることも十分考えられる。

また政治や経済のトップがエレベーターや車に入った時に閉じこめて、薬やガスなどで、側近やボディーガードごと長期に動けないようにしてしまえば、指揮系統を混乱させることも、やろうと思えばできる。眠っているなら、死んでいるのと同じだから、無理に殺害して殺人犯になることもないし、どうせ年寄りだから遅かれ早かれ、たぶん先に死ぬ、というと笑っていた。

このようなことを本当に実行・指揮する優れた指導者が現れ、多くの若者が従い、なおかつ民間に被害を与えず、日本なら天皇、タイやオランダなら国王の存在を尊重することまでちゃんとやえば、民衆は反対しないので、十分可能ではないかというと「絶対そうだ」と賛成していた。そしてそれをデフォルメしてファンタジー小説にすれば、案外うけるかも、と提案すると「しばらく温めます」と言っていた。

実際の世界で「国家統一」とか「クーデター」とかを行うと、民間人が巻き添えになってたくさん死ぬから、皆、嫌がるのでウケない。では、一般の民間人の生活を破壊しないでやるのなら、どんな政治体制になっても文句は言わないだろう、と考えられる、このような「クリーンな革命」を目指す人たちがいたら、面白いな、案外、大ウケするのではないか、ということをその女子生徒と話していたのだが、さて実際にはどうなるだろうか。

もうちょっと続く。