入試の前に学校内の「席取りゲーム」に勝て!
少し具体的なことを述べたい。暗黙の了解だが、ある中学からその高校に行ける人数は最初から決まっている。願書を出す前に、その「席」に着席できなければ、話は始まらない。言ってみれば「席取りゲーム」だ。そしてもしその「席数」以上に人が座っているときに、やっと入試当日の成績で合格が決まる。入試当日の成績の前に「勝負」が決まっていることもある。
もしご子弟が入りたいと思っている高校が、各科目80点ぐらいの成績を要求するところで、今の成績が60点ぐらいなら「より一段上のこと」に挑戦しなければならないし、その価値がある。大学入試はともかく、高校入試で住居地域にある「上位公立高校」を目指しているのなら、特にやらせなければならない。
2年生後半になると、「席」はもうだいぶん埋まっている。そして今80点以上の人が「この席は渡さないぞ」とより一層勉強するなら、ますます空席になる確率は低い。70点ぐらいの人も「あともう少しだから」でがんばるかもしれない。そういう状況で今現在60点ぐらいの人がボーっとしていたら、まず無理だ。80点や70点の人がスパートをかけつつある時期に、60点の人が何の対策もしないのなら、「勝負」以前の話だ。試合に出ることができなければ「負ける」こともできない。ただし60点以下~40点ぐらいの人は、それこそ基礎からやるしかない。でないと3年になったときにもっと下がるだろう。
弱点補強には難問を解く
次に「研究・弱点補強」にあてる最適の時期の一つは、学年末試験の終わった時から春休みを挟んで4月の新学期が始まる、冬から春になる時期が一番良い。ただし花粉症の人にはつらい時期でもあるから注意。次に最適の時はやはり夏期休暇中。夏期課題を片付けながら、同時に弱点補強をする。最近、日本の夏は凶暴だから、エアコンをうまく使いこなして、食べ物にも注意して勉学に励むこと。次の最適の時期は部活動が縮小される秋~冬だ。ある意味「冬ごもり」の準備みたいなものだ。
ではこの時期に、何をすれば、何をさせればいいのか?ずばり、難しい問題に挑戦することだ。
簡単な問題だけを解いていても、「簡単」とは認識できない。難しい問題を解いて始めて「あ、これは簡単だ」とわかるからだ。できれば入試問題から抜粋した、「中学2年範囲対象」とか「中学1年範囲対象」と書いてある定評のある問題集を解く。最近はその学年までの知識で解けるように作ってある。15年ぐらいまでは「中2年対象の問題集」とあっても、中3のことが入っていることもよくあった。しかし最近はあまりない。だから安心して(?)取り組んでもいいだろう。そして今までの知識をフル回転して考えることだ。
で、今60点ぐらいの人で「こんな難しいは無理だ~」と逃げる人に忠告しておく。この程度で逃げていたら、中学3年の内容が組み込まれた入試問題は、手もつけられないだろう。中学3年は高校0.3年生みたいなものだ。超基礎の高校の勉強が始まっているのである。中2までのことができていない人には無理だ。
もちろん、覚悟を持ち、実行したが、それでもうまくいかない場合も残念ながらある。勉強に向いていなかっただけのことだ。新しい道を探す方が良いし、そちらの方がもっと良いかもしれない。そして、口先ばかりで全く自己開発に手をつけないご子弟であるなら、その時点で保護者はもう諦めた方が良いかもしれない。今までの育て方が失敗した証明であり、受容するしかない。
諦めないことが大切だ、と最近の風潮はいう。でもそれはウソだ。しがみつかせて、お金儲けをしただけの業界の戯言である。夢の世界に閉じ込めて、自分たちだけが得をしたいだけのことだ。諦めることで、また別の新しい未来が出てくる。そちらで頑張ればいい。
夢の危険性についてはまた改めて述べたい。