4月1日、入学式はまだ来てないが、書類の上では、一つ学年があがる日だ。以前に「中学生になる人に」という拙稿を書いた。二番煎じではないが「中学生になった人たちへ」という題で、新学期から、もう一つ、二つ、三つ注意しておくべきことをご容赦願いたい。
学校は「お役所」なので、「紙切れ」の扱いは慎重に
新中学生では何を言いたいのかわからない、と思う。ボーっとしている2年生でも、3年生でもわからないだろう。
でもこれは覚えておく必要がある。誰もこんなこと、あまり中学生には注意しないからだ。子供だから言ってもわからないだろう、と思っていることもある。でも私は「子供や、子供である生徒の可能性を信じる」陣営に所属しているつもりだ。だから難しいことで、嫌な真実でも伝えることにしている。わかるかもしれないからだ。もちろんなるべくわかりやすく、受け止めやすい言葉に変換はするが。
お役所というのは「紙切れ」で動く。その「紙切れ」にハンコやらサインやら押したり、書いたりして、上の指示や許可が出て、初めて動きだしたり、止まったり、認められたりする、極めてややこしい組織だ。これは公立の学校でも全く同じである。
そしてその「紙切れ」が証拠になって扱われる。極端な話だが、その「紙切れ」に書いて「ある」ことなら、実際には「なかった」ことでも「ある」ことになるし、書いてい「ない」ことは、実際には「あった」ことでも「なかった」ことになる、ということだ。
では中学校生活での一番大切な「紙切れ」は何か。
それは「年間予定表」と「試験の範囲」を書いた紙だ。
もちろん他にも「健康診断のお知らせ」とか「遠足の日程」を知らせてくれる紙もそれなりに大事だが、成績に関するものの中で、一番大切なものは?の基準で上げると、これらだ。役所に提出するものではないが、ついでに「部活のスケジュール表」も入れておこう。
そのテスト範囲を示した紙には「今度実施される中間や期末などの定期テストで出る範囲」が書いてある。それが「証拠」になって「前のテストで出た範囲のすぐ後から、次の定期テストの範囲に入る」ことを、よく忘れている人が多いのだ。
どういう場面で大事になるか。
例えば、1年生の1学期の期末テストは6月の第3週~最終週ぐらいにある。普通は3日間で終わるから、その後、テスト返しやスポーツ大会をやりながら、また再び授業が始まる。
で、9月に2学期が始まって、10月半ばにまた2学期の中間テストがあるけど、その範囲の最初は、6月末から夏休みが始まる7月20日までのことも、ちゃんと出る、ということだ。まあこの場合なら「あ、あんなところからも出るのか、だいぶん忘れているぞ」と勉強し直すだろうから、たぶん大丈夫だろう。
テスト範囲外だったものは、学年が変わっても、その次のテストで必ず出題される
ところが、1年生の教科書が最後まで終わらない場合が、時々あって、そこが問題になる。特に今回改訂になった、新しい英語の課程では、積み残しになる学習範囲が、かなり出るはずだ。もっとも積み残しの方がまだマシで、無理やり進めて範囲に押し込んだら、普通の人では、あっさりパンクする可能性の方が高い。それぐらい、今回の改定は相当きついことは覚悟した方が良い。
1年生の学年末は2月下旬にある。
めでたく2年生になるから「これはもういらないな」で、試験範囲を書いてある1年最後の学年末テストの範囲を書いた紙を、自宅の部屋の大掃除で捨ててしまったとする。
2年生最初の1学期中間テストは5月下旬だ。「今回はあまり進まなかったからラクだ」と思っていると、1年生の最後の学年末のテスト範囲から外れていたところもちゃっかり出て、びっくりし、慌てて勉強しようとすると、「あれ?どこからだったか?」と思い出さなくてはいけなくなる。しかし覚えているだろうか?「あの紙、捨てるんじゃなかった!」と嘆くが、後の祭りだ。
公立の学校は「お役所」なので、「ここまで教えなさい、テストに出しなさい」という命令を、文部科学省という上級の行政組織から命令されているので、生徒が覚えていなくても、範囲を忘れていても、そんなことに関係なくテストに出さねば、教師は自分のクビが危ない、となるわけだ。
また、親切に「1年生のp●●からp××まで」と書いてあっても、もしかすると「飛び飛び」で勉強していた範囲がある場合には、困るだろう。さらに先生が転勤していて、引継ぎがうまく行っていないことも、よくある。とにかく慌てないためには、3年間分、試験範囲を記した紙は捨てない方が良い。
何か特別なことでもない限り、普通の人間は3日前の夕食に何を食べたのかも覚えていないはずだ。「作った私が忘れています」と正直におっしゃったお母さんもおられたぐらいだ。似たことが起きるので、「紙」がある方が安心できる。
「遠足のお知らせ」や「健康診断のお知らせ」の「紙切れ」は捨ててもいい。
でも「試験の範囲」を書いた紙と、「年間スケジュール表」は絶対に捨ててはいけない、と強調しておく。それで何回も何人もの人が痛い目にあったのを見てきたからだ。
長くなるから続く。