もうすぐ新学期・新学年が始まる。まだ3学期が済んでいない、と言うなかれ。塾業界ではもはや新年度に向けての準備が始まっている。ここで特に、小学校から中学校に入る現6年生の子弟をお持ちの方に、老婆心ながら少しアドバイスを差し上げたい。

その子が算数が不得意なら、今からでも遅くないから、小学校範囲の復習、それも徹底的な復習をお勧めする。そのままでは、数学で苦戦は必至だからだ。中学数学は甘いものではない。

1学期の正負の数でコケテしまった人は、2学期になっても立ち上がっていないことが多い。特に公立中学で部活、それも自分が好きな部活に入ってしまった人は、特にそうだ。1学期に出遅れてしまって、夏休み(なんと想像しにくいことか! 今はまだ花粉症の季節だというのに)に挽回するぞと思っても、時間的・体力的に難しいからだ。


それほど部活の魅力は悪女的である。なぜだろう?最近の子供たちは「集まって体を使って遊ぶ」ことが難しくなってしまったからだ。今60才以上の人たちは「原っぱ」という言葉を知っている。近所の空き地のことだ。そこで男の子なら三角ベース野球、女の子ならケンケンやゴム飛びをしたりして、「仲間」と遊んだ記憶があるだろう。ドラえもんの土管が置いてある空地だ。

ちなみになぜ「土管」かと言うと、その当時、「欧米並みの水洗トイレの普及を進める(この時点では50%の普及率だった。赤痢などの集団感染の原因になっていたのである)!」の目標の元、下水道整備工事が公共事業として進められていたからだ。

40才以上の人なら、学校の校庭が開放されていたため、放課後、そこで級友と遊んだ記憶があるはず。あるいはすごく朝早く来て、走り回ったり、サッカーをやったりした。

それでも教師を初めとする大人たちは苦情を言わなかった。


しかし今の子供たちには、それがあまりない。資本主義的発想による車社会の到来で、原っぱはすべて駐車場になり、路地裏まで車が入ってくるようになったし、学校での事故や事件の増加で、危機管理強化の名目の下、学校は閉ざされた。

そんな子供たちが中学生になって「遊べる」場が、部活動だ、と私は考えている。この原始的な魅力には勝てないだろう。だから時々部活の仲間で「集団万引き事件」が起きるのだ。誤解を招くかもしれないが、あれは最初は「悪い遊び」の延長である。スポーツを通してルールを守って競うことが徹底されていたなら、起きるはずもないだろう。


そして子供だから嫌なモノとは対決したくない。逃げるだろう。自分の弱点を放っておいて、中学校の授業に臨むのは危険すぎる。1学期からスムーズに、特に数学の世界に移行できるように、今から算数を勉強し直しておくべきだ。%、歩合、速さ、分数少数の混じった計算など、することは結構多い。

これは高校1年生も同じだ。数学に弱点を持ったまま高校に入ると、数学が数Ⅰと数Aの「2倍」になった状態に太刀打ちはできない。春休みに中学数学の勉強をやり直しておきなさい。